学長ブログ
7月の学長ブログ
夏祭りも、花火も、修学旅行も、暑気払いも、お盆の帰省も、・・・、中止中止の連続です。オリンピックは開催するそうですが、人気のない選手村、観客のいない巨大国立競技場、ほとんどキャンセルされた大量の観光バスの列、怒りを隠せない飲食業者、などの現場レポートを見て、心が痛みます。それでも、守谷市内の広々した公園の芝生で、互いに大きく距離を取りながら遊んでいる子供たちや家族を見ると、少しホッとします。
そのような中で、粛々と進む「もりや市民大学」のハイブリッド授業、ここまでの所、何とか無事に実施されています。特に、オンライン授業に参加されている受講生の皆さんは、誠にチャレンジングな方々とお見受けしています。必ずしもオンライン会議やオンライン交流に慣れていらっしゃらない方々も、これを機にオンライン受講生となり、新しい体験をしておられます。オンライン受講生が積極的に質問され、その質疑応答を教室受講生と共有できているところは、新しい教室誕生の実感が特に強まるところです。
私事ですが、来年2022年12月に、京都国際会館で開かれる予定の1000人規模の国際学会に関与しておりまして、そこでも、ハイブリッド方式のシンポジウムや発表講演ができないかどうか、検討を行いました。その結果、ハイブリッド国際学会は膨大な予算がかかることが判明し、とても無理であるとの理由で、ついに断念しました。ハイブリッド方式は、予想以上に手間がかかり、実現が難しいことであると、改めて認識しました。
そのような次第で、「もりや市民大学」は時代を先取りしたハイブリッド教室を手作りで展開している、と改めて気づき、ここまで指導、尽力いただいた運営委員の方々と、呼びかけに応じてオンライン学生に登録いただいた受講生の皆様に、心からお礼を申し上げます。そして、この方式を実現したことにつき、いささかの誇りと自信を皆様と共有したいと考えています。ただ、市民大学の運営は作業量が多いので、もう一回り運営委員の人数を増やす必要があります。その意味で、運営委員の追加募集を準備しています。お力添えを宜しくお願い致します。
6月の学長ブログ
いよいよ始まりました、「もりや市民大学」2021年度3コースです。まずしょっぱなは、6月4日の「まちづくりコース」でした。講師は、市役所市民協働推進課長さん。とても丁寧に準備され、分かりやすいお話を頂きました。この日、不思議な思いに駆られました。それは、「先生」って何だろう、という疑問です。
「先生」の語源は、読んで字のごとく、先に生まれた人を敬う言葉です。しかし、今回の教室で現れた「先生」は、どう見ても受講生よりずーっと若いのです。もちろん、受講生のお1人は19才現役学生さんであり、この方は「先生」より確かにお若いです。しかし、残りの受講生は、どう見ても「先生」より先に生まれた方ばかりでした。
そういえば、最近、若い人に教えてもらうことが非常に増えたと思いませんか?まず、毎日使うスマートフォンの設定や、動きがおかしくなった時の修正回復です。身近な若い人に教えてもらっていませんか?パソコンを使う人であれば、動きがおかしい、とか、マウスが動かない、とかいろいろなトラブルについて、息子・娘世代、更には孫世代に教えを乞うていませんか?教えてもらった後は「へー、そうなの、全然わからなかった」という感想のみで、「ありがとう」まで言えているでしょうか?
これからの時代、「先生」はどこにいるでしょう?身近な、若い世代が「先生」になってきたとすると、先に生まれることに、どんな意味があるか、と、怪しい自問が現れます。しかし、若い人に教えてもらうことは、何故か気持ちよく、嬉しいのです。これはなんでしょうか?若い人に教えてもらうと幸せを感じるとすれば、それはそれで新しい時代がやってきたようにも思います。
今回始まった2021年度「もりや市民大学」、いろいろな「先生」との出会いを大いに楽しみ、また、有効に活用してください。若い「先生」大歓迎です。
5月の学長ブログ
変異ウイルスが蔓延し、特別措置法、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置、感染拡大市町村、といった新規用語が次々と報道、通知されています。これらの熟語を正しく理解し、記憶できるかどうか、怪しくなってきました。しかも、それぞれについて内容が異なり、期限も指定されます。いま、自分はどのレベルで警戒、心配すればよいのか、だんだん曖昧になり、それよりは自己判断、或いは直感で判断して、毎日の行動を決める傾向が強くなりました。
守谷市民も、毎日の新規感染者数報道を注視し、それが0だとホッとし、1~2人だと「これ以上増えるな」と祈り、3人以上だと「まずいぞ」と身構えます。そんな緊張が全ての市民を覆っており、「守谷市は頑張っているな」と思わずにはいられません。しかし、緊張と自粛だけでは仕事や家事、勉学などの日常が保てません。やはり、ウオ―キングやジョッギング、体操や野外スポーツで健康維持を続けておられる方々も大勢です。
そのような中で準備が進む2021年度もりや市民大学、お陰様で、「総合コース」「まちづくりコース」「グリーンインフラコース」とも、教室学生、オンライン学生の申し込みがあり、無事開講することが決まりました。運営委員会では、パソコン、マイク、カメラなどを適切に配置・接続し、不快なハウリング音を出さないように、懸命の準備をしているところです。そして、新しい方式のもりや市民大学を、是非とも無事に修了までこぎつけたいと思っています。特に、オンライン学生で応募された方々に、「良かった」と言っていただけるように、万全の準備を進めたいと思います。
今後、全世代にまたがるICT(情報通信技術)の定着に向けて、様々な課題が出てくると思います。オンライン連絡(スマホやパソコン)は一切使用せず郵便と電話のみで各種連絡を行う世代からペーパーレス世代まで、同じ時代を生き抜かねばなりません。ICTは、いずれ、電気、ガス、水道、電話などのインフラと同列になるでしょうが、その過渡期である今日、社会的ストレスが生じるのも当然です。ここを何とか乗り切ることが地域社会にとっても個々人にとっても求められていると感じます。「良い」「悪い」「賛成」「反対」といった意見分布とは別の「時代の波」を生き抜きましょう。
4月の学長ブログ
もりや市民大学は、2013年に開校以来、9年目を迎えています。昨年一年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全ての教室を中止しましたが、今年2021年度は、6月から開講します。幸いなことに、昨年中止した講義のほとんどが、本年再開できます。公開講座で予定していた講義を「総合コース」の中に組み込み、「まちづくりコース」「グリーンインフラコース」は、その特徴を鮮明にしました。本年度、ふたたび講義を引き受けて下さった講師の先生方には心から感謝します。
今回、もりや市民大学ではオンライン授業を併設することにしました。従来型の教室授業の定員は15名、オンライン授業の定員も15名としていますが、オンライン受講生が超過しても対応可能です。例えば、子育て中の主婦の方が、横目で我が子の様子を見ながらオンラインで受講することもできるのです。パソコンを持っていない方でも、画面は小さくなりますがスマートフォンで受講することができます。細かいやり方は、事前の打ち合わせ説明でご案内しますから、安心してください。
先日、運営委員会でオンライン授業の第1回リハーサルを行いました。主催者側の訓練です。初回なので手間取りましたが、課題も明らかになり、更に準備を進めることにしました。手順が決まったら、新規オンライン受講生への説明サービスを準備することになります。運営委員は、受講生への説明と、講師の先生方へのサポートも行い、授業当日の司会進行も担当します。
こんな次第ですが、運営委員会では「これだけ準備に時間と労力をかけて、オンライン授業の受講生が1名だけだった、なんていう結果もあるかもしれないね」と笑いました。そういう予測と期待の中で前を向いております。できれば、もりや市民の皆さんにも、一緒に苦労しながら「もりや市民大学オンライン授業」のお試しに参加いただきたいと思っています。私どもは、失敗を恐れず、できることをやってみたい、という心境です。
3月の学長ブログ
今日14日(日)、守谷城址公園に植えた河津桜の手入れイベントがありました。風はありましたが晴天で、絶好のお手入れ日和でした。「もりや河津桜の会」柗本会長と松丸市長の挨拶のあと、諸注意があり、各々がシャベルや鎌、肥料やハサミを手にして自分が植えた河津桜に向かいました。見回すと家族連れの方が多く、100人ぐらいは参加されていたと思います。新型コロナ禍の中で、全員マスク着用、会話は控えて互いの距離を取ること、といった注意喚起も丁寧に行われ、安心して手入れに向かうことができました。
ご存じの通り、この「もりや河津桜の会」は、もりや市民大学の教室から生まれた自主的な市民活動の一環です。思えば、平成26年3月に5本の試験植樹を行ったことが始まりでした。その後、里親募集に応募した市民によって平成29年に第1期83本が植樹され、第2期を経て第3期にまで発展し、現在、170本以上に増え、今では植樹できる場所の選定に苦労しているところなのです。各桜には通し番号と名前や言葉を書き込んだ札が添えられており、No.95札が付いている私の桜は植栽後3年たち、高さ2mを超えて可愛い花が咲いていました。準備された主催者の皆さん、ありがとうございました。
地域活性化や地域創生は、掛け声だけではなく、具体的で目に見える形になることが望まれますが、そうした地域活動の例は全国各地に展開されています。これらの例を伺うと、ある1人の人が「よし、これをやってみよう」と思い立って周りに声をかけながら創意工夫を重ねるうちに、いつの間にか広がってゆく、という経過が多いようです。できることを1つずつ積み重ねていくうちに、成果が目に見えて発展する、という成功体験者を増やすことは、「人材育成」を標榜する市民大学の希望でもあります。
新型コロナや変異型コロナの感染が今後どう収束するのか、現時点では何とも言えませんが、令和3年度のもりや市民大学は、6月開講を準備しています。今日の松丸市長のお話では、5月連休前後にはワクチン接種が行き渡るように準備中とのことです。ここに期待して、市民大学の教室(一部オンラインです)でお会いできることを楽しみにしています。
2月の学長ブログ
Zoom会議が広く使われるようになりました。Zoomは、いったん始めてしまえば比較的容易に活用できますが、日頃、パソコンやスマホでインターネットを利用していない人にとっては、ハードルが高いようです。先日、大事な専門学会Zoom会議が開催されることになり、私だけでなく私と同世代の研究者(複数)にも出席が要請されました。しかし、Zoom経験のない彼らは自信が持てないので、事前練習することにしました。携帯メールで確認しあいながらパソコンやiPadの操作に臨み、「音が出ないぞ」「そんな画面は出てこないぞ」などと不満を言い合ううちに、パッと画面が現れ、「やあやあ、お久しぶりです」と、無事、挨拶を交わすことができました。
Zoomビデオコミュニケーションズという会社は、アメリカ・カリフォルニア州のサンノゼ(San Jose、スペイン語ではサンホセ)に本社を置く通信技術会社です。この会社の創業者は中国出身のEric Yuan(袁征)という人だそうです。2011年創業、2013年に互換性を高めたソフトウエアを作り、ビデオ会議、オンライン会議、チャットなどの利用を広げました。それが、COVID-19パンデミックのせいで、急成長しました。2019年12月(パンデミック前)の1日平均利用者数は約1000万人でしたが、2020年3月には約2億人に増えました。守谷市民活動支援センターでZoom講習会を始めたのが2020年7~8月頃でしたから、かなり早い対応だったかもしれません。
この急成長のZoom、これからも利用させてもらいますが、気をつけるべき点もあるようです。セキュリティーに関して、アメリカと中国の間でも複雑なやり取りが垣間見えます。個人情報が完全に守られているかどうか、定かとは言えません。また、日本には音響メーカーZoomという会社があるそうで、勘違いで株を買う人がおり、株価が上昇したなどという噂もあります。
すでにZoomを利用している人にとっては、その後のハードルは低く感じられて、便利に使えていると思います。しかし、まだ、Zoomはやりたくない、と思っている人々がたくさんおられます。そうした隔絶を、どう扱えばよいか、社会的な課題でもあると思います。地域社会にICT(情報通信技術)をどのように定着させるかは、日本社会全体の問題でもあると思います。この、急変する社会の課題そのものが、もりや市民大学にとって学びの対象になる、とも言えそうです。
1月の学長ブログ
新年、明けましておめでとうございます。さて、早速ですが、コロナ以外の話題を共有したい、と強く思います。テレビ、ラジオ、新聞、ネットニュースのどれもこれも、新型コロナ、変異ウイルス、大雪、トランプ米大統領に関するニュースで明け暮れています。新年の明るさ、華やかさは消えてしまいました。コロナ以外の話題を持ち出すと、やや違和感を持ったり、浮いた話のように感じたりします。無理に明るい話題に振っているな、と思うほどです。
そこで、無理に話題を振ってみよう、と思いつきました。食べ物の話はいかがでしょう?例えば、寿司です。スーパーなどでもパック入りの美味しそうな寿司を売っているので、家庭に持ち帰って食べれば、寿司屋さんで握ってもらう寿司と同じ味を楽しめるかな、と思ってきました。しかし、何かが違う。どこが違うだろう?そこで、ふと気づきました。スーパーの持ち帰り寿司には青魚(光り物)が少ない。コハダ、アジ、イワシ、サバ、サンマなどの握りは少なく感じます。一方、寿司屋で握ってもらうときは、こういった青魚が好きに選べます。と、蘊蓄を傾けながら電子レンジで温めた日本酒熱燗を飲む、これが我が家の食卓となりました。
ここまで書いて、さて思い浮かぶのは、日ごろお世話になってきた飲食業の皆さんです。美味しい食べ物飲み物を提供してきた飲食業の皆さん、時間短縮、営業自粛、会食自粛などの指示を受けて、非常に苦しんでおられます。客商売と言われている全ての業種でも、同様の苦難に直面しています。ここを耐えきって復活していただきたい、と思わずにはいられません。
やっぱりコロナ関連の話につながってしまいましたが、もう一つの明るい話題と言えば、成人式を迎えた若者たちです。1月10日の朝、起きがけに玄関の外に出たら、偶然、ご近所で成人を迎えた若者に出会いました。思わず「おめでとう!」と声をかけ、「ありがとうございます」の返事をもらいました。その若さの眩しいこと。素敵な振り袖姿でした。この日、守谷市は常総運動公園屋外で成人式記念式典を挙行したそうです。これは、特別に明るい出来事でした。
12月の学長ブログ
2020年、もりや市民大学は、1年間の休校を余儀なくされました。現在、2021年度の開講を目指して準備を進めております。来年6月の開講を予定していますが、その頃にはコロナの終息、ワクチン接種の完了などが整っていることを期待しています。ただ、これまでのように、満室の教室での講義、ホール一杯の参加者を見込んだ公開講座などを想定することは難しく、人数制限をかけた受講とオンラインリモート受講を併設する必要があると考え、その方向で準備しています。
講師の側にもいろいろな事情があります。既にリモート講義などの経験豊富という現職の方から、サポート付きでなければトラブルの緊急対処は無理、という方まで、多種多様です。来年開講の市民大学カリキュラム設計は、これまで経験したことのない複雑な手順を準備しなければならないと、覚悟を決めています。
このような時代に、どんな教室が求められているでしょう。金曜日コースは、地域づくりまちづくりをテーマとする専門コースを予定しています。例えば、「柏市地域協働を考える会」の活動紹介です。この「考える会」は、かしわ市民大学修了生が結成した会であり、今年、「あしたのまち・くらしづくり活動賞―振興奨励賞」という全国レベルの賞を受賞しました。コロナ禍の中でどんな活動を展開したのか、注目です。地域防災については、このような時代だからこそ必要とされるリモート講座を計画中です。一転して、火曜日コースは、守谷の自然を守るためのグリーンインフラを軸に展開する予定です。自然を学ぶことの意味を、より深く知ることができるでしょう。人気の総合コース(土曜日)は、多様なテーマを用意しています。講師陣も開講を楽しみにしているところです。
2021年をどう作るか。コロナを睨みながら、withコロナとafterコロナを考えることが、どうしても必要になりました。ここでも、新たな「学び」が必要です。もりや市民大学運営委員会は、自らも学びながら、より多くの市民に「学び」の場を提供すること、そこに意義を見出しています。恐怖と不安を残したままですが、できることから始めましょう、と前を向いていることをご報告します。
11月の学長ブログ
友人が、江戸時代に学ぶ農書を書いているそうです。江戸時代?と疑問に思いましたが、日本のイナ作技術が江戸時代から明治時代に移った時に大きな変貌があったといいます。彼が着目したのは、主として雑草処理、つまり、水田の除草技術に関する問題です。
友人曰く、江戸時代に多数回中耕除草法という技術が発展し、無肥料・無農薬で多収することが可能だったそうです。しかし、明治以降は西洋農学の導入が進み、化学肥料と農薬を使用した栽培が当たり前のようになった、と言います。よーし、それなら江戸時代に完成度を増していた多数回中耕除草法を現代に蘇らせて試してみよう、と思い立ち、その後10年間、試験水田において、自然と共生する無施肥・無農薬のコメ作りに挑戦し、予想を上回る成功を収めたといいます。
毎年その試験水田で収穫されたお米を送ってくれるので、私も食べ比べを続けているのですが、確かに、年々美味しくなってくるのです。友人は、無施肥・無農薬でもちゃんと除草ができ、病害虫にも耐性があり、美味しくて立派なコメ作りが可能だ、と自信を深めています。「自然栽培」という雑誌にも、しばしば記事が取り上げられ、全国のコメ作りの人々が見学に来るほど知られるようになりました。
最新の科学技術をファストサイエンスと呼ぶとすれば、この友人の技術はスローサイエンスそのものです。最近、スローサイエンスを見る機会はめったにありませんが、こうして身近でそれを実践している例を見ると、何だか嬉しいです。スマホやパソコンで、操作が行き詰まり、「訳わからん」と放り出すとき、いや、身体で分かるスローサイエンスもあるぞ、と、気を取り直せる、そんな今日この頃です。
10月の学長ブログ
久しぶりに、もりや市民大学運営委員会を開催しました。ほぼ半年ぶりです。会議前には、全員が検温、手の消毒を行い、マスクをつけ、互いの距離を大きくとって着席しました。皆さん、お変わりなく、元気そうでおられ、ひとまず安心しました。マスクをつけて発言するときは、少し大きな声を出さないと、遠くの席の人には聞き取りにくい、ということも気づきました。
議題は、2021年度の市民大学開校へ向けての準備です。まず、2020年度に計画した総合コース、専門コース、市民科学ゼミ、公開講座などについて、新たな見直しをするか、そのままの形を持ち越しとして開始するか、具体的な検討を行いました。その結果、市民科学ゼミは当面無理かもしれないが、他のコースや公開講座などは、ほとんどそのまま再開できるのではないか、との結論に至りました。
ただし、市民大学再開において、どのような教室形態をとるのか、という選択が難しいところでした。例えば、総合コースの定員を30名とすると、市民活動支援センター2階の教室では上限を20名としていますので、全員出席が受け入れられません。それでは定員を20名に減らすか、それとも、20人以上はオンライン授業にするか、といったテクニカルな議論に進みました。さて、例えば、いまはやりのZoomを活用した教室を開くことは可能でしょうか。ここが思案のしどころです。
守谷市内でも、小規模な対面集会は少しずつ増えている様子です。このまま、新型コロナウイルスの再拡大を起こさず、終息に向かっていけば、元の市民生活が戻り、安心なわけですが、そう甘くもないようです。我慢の日々が長くなり、「ストレスがたまる」「コロナ太りだ」といった声も聞かれます。でも、「もうどうでもいいや」とばかりに羽目を外すわけにもいきません。状況の変化を注視しながら、より良い日常を取り戻したい、そう願うばかりです。
9月の学長ブログ
GOTOトラベルは、少し元気が出るキャンペーンだな、と共感し、10月末の国内小旅行を計画し、ツアーに申し込みました。さあ、費用を振り込もうと準備したところに、郵便が届きました。それは、予定の航空便が「新型コロナウイルス感染症による航空需要減少の影響から運休」するので、「やむなくツアーの催行中止を決定させていただきました」、との通知でした。楽しみにしていたのでガッカリしました。
そんなさなかに、Zoom会議を何度か体験しました。今後もいくつかのZoom会議が予定されています。実は、市民大学運営委員のYUさんが、希望者に対し、市民活動支援センターの教室でZoomの使い方を教えてくれました。とてもありがたかったです。特に、呼びかけられてZoom会議に参加するだけでなく、自分がZoom会議の主催者として参加者を招集する方法まで伝授してくださったのが嬉しかったです。なぜYUさんはそんなことができるのか?というと、もともとのお仕事がAI関連だったこともありますが、それより、Zoom飲み会を定期的に楽しんでおられる、「つい、飲み過ぎてしまう」という楽しそうな裏話があったのです。「良いなー、私もやりたいな」と思ったので、Zoom教室に飛んで行った次第です。
そこで、これは良い、と思って昔の飲み友達にZoomやりませんか?と持ち掛けましたが、反応なしです。その友人達、普通のメールでは結構長い文章を送ってくれるのですが、映像や声が届くZoomについては、あまり興味を示さないのです。どうやら、Zoomは、若い人や仕事の現役世代には広まっているが、高齢社会にはそれほど行きわたっていないのかもしれない、と思い至りました。高齢者は保守的なのか、或いは、新しいものに飛びつくには腰が重いのでしょう。
今後、コロナ後の「新しい日常」には、デジタル社会が大きな位置を占めると思います。「新しい日常」が高齢者や一人住まいなど、社会とのコミュニケーションが希薄になりつつある生活者を置き去りにしないよう、切に望む次第です。
8月の学長ブログ
運転免許証を更新しました。年齢が高いので事前講習を受けましたが、ゴールド免許のせいか、警察署での更新手続きは比較的簡略でした。久しぶりの警察署内を見渡すと、消毒用のアルコールスプレイがあちこちに置いてあり、壁には運転マナーや交通事故に関する張り紙ポスターがたくさん貼ってありました。で、待ち時間の間に考えました。交通事故の件数と新型コロナウイルス感染者数との関係はどうなのだろう、死者数はどうか、といった素朴な疑問です。
帰宅してからインターネットで公表データを調べてみました。8月10日現在の統計データです。2020年の1月から6月までの全国交通事故件数は1日平均799件、全国交通事故死者数は1日平均7.4人でした。交通事故件数は前年比で22%も減少しているそうです。外出の自粛効果でしょうか。さて、一方新型コロナウイルスについて、8月10日現在の全国新規感染者数は839人と報告されていました。また、8月1日から10日までのウイルス感染死者数は1日平均4人でした。数字を見比べると、799対839、7.4対4、です。何と申しますか、ざっくり言えば、新型コロナウイルスで起きている危機と交通事故で起きている危険とは、ほぼ同レベルなのではないか、と思いました。
交通事故をゼロにするための最善の方法は自動車の運転を全面禁止することです。新型コロナウイルスで言えば完全自粛か都市のロックダウンでしょうか。そして、それは現実的ではありません。先の警察署内では運転マナーを守りましょう、と注意を呼び掛けていました。新型コロナウイルスで言えば、緊密を避け、マスクを使用し、手洗い消毒を徹底しましょう、というキャンペーンに相当するでしょう。社会生活・社会活動を全部禁止しろ、というのは世の中の自動車を全部止めろ、というに等しいと思います。現実社会は、規則とマナーを守って安心安全を保つことが大切なのかな、と改めて思いました。
運転免許証の更新手続きを完了し、いつの間にかこんなことを考えていたら、ラジオから「高校野球を部分的に再開したのはよろしくない」という声が聞こえてきました。私はそうは思いません。規則とマナーを守ってできるだけ試合を続行してほしい、自動車運転の全面停止を求めるような批判は行き過ぎではないか、と思いました。
7月の学長ブログ
自粛生活から、「新しい生活様式」へと向かう日々、皆様どのようにお過ごしでしょうか?この間、何だか時間の流れが速くなっているように感じています。中国で発生した新型コロナウイルス感染が、全世界に広がり、半年以上経過したいま、日本国内の毎日の感染者数をドキドキしながら見守っています。今思うと、2月、3月、4月、5月、6月に何をしたか、と考えても、特段に記憶に残るイベントが残っていません。ただ、時間だけが高速で過ぎ去った感があります。
そんな中で、特に印象的なのは、社会全体のデジタル化が急速に進んでいることです。大学の現役教員は、オンライン授業は勿論のこと、来年の大学入試でもオンライン入試を考えざるを得なくなっています。ご存じかもしれませんが、「ミラーワールド」という新しい社会モデルには驚いています。なんでも、現実の「ミラー」をネットワーク中に構成すると、その中でヒトやモノといった現実とミラーワールドの中の仮想現実とが一体化しているような世界を構築できる、というのです。
昔、SF小説でタイムマシンと瞬間移動が出てきたときは、「想像するのは自由だね」とバカにしていましたが、その瞬間移動とほぼ同じことができる技術の実現が間近に迫っているといいます。例えば、ミラーワールドの大学では、教室にいる学生の半分は現実に出席しており、半分はネットワーク参加しているのに、その差をほとんど感じずに授業ができる、さらには、実験にもネットワークで参加できる、といったイメージだそうです。これはもう、瞬間移動しているのと同じではないでしょうか?
「新しい生活様式」がどんなものか、分かりませんが、オンライン会議は実際にやってみると便利、という声も聞かれます。もりや市民大学でも、一部オンライン化の検討を始めます。新しい市民大学を模索せざるを得なくなりました。
6月の学長ブログ
武漢に、朱という名前の中国人がいます。その朱さんのニュースを共同通信社の5月23日付配信で見かけました。何でも、新型コロナウイルスが広がった武漢在住の日本人が、急遽帰国する際、市当局と掛け合って輸送バスを手配し、全員が無事に飛行場まで移動できるように最大限の尽力をしてくれたと報じていました。https://news.yahoo.co.jp/articles/a8c787684840f25c8761e0df235b658c70c555a4
「おやおや?よく似た名前の人がいるな」と思いました。というのは、かつて、私が現職の大学教員だったころ、朱敦尧(ズー・ドンヤオ)という中国人留学生がいたことを思い出したからです。ニュースを見ると、件の朱さんも東京大学留学経験があると書いてあります。これは、ずいぶん近い話だな、と読み進むうち、これは、あの朱さん本人だ、と確信しました。
そこで、「朱さんが日本人退避のために力を尽くされたことを、初めて知りました。まず、心からの御礼を申し上げます。本当にありがとう。」というメールをご本人に送りました。すると、朱さんから「皆さんとの出会いは私の人生として、幸せの種です。それを大切にして、ずっと。今回、日本からたくさん感謝のことばをいただき、大きい喜びです。映画になってもらいたいという方がいらっしゃる、確かに、永遠に経験できないシーンがいろいろ、ありました」との返信。
こんな偶然の再会があるとは、夢にも思いませんでした。朱さんは、私のもとで環境地水学という専門分野の博士号を取り、研究者の道に進む予定でした。しかし、その後紆余曲折を経て、今では日中を結ぶIT関連会社の会長に上り詰めていました。社員1300人を率いているそうです。新型コロナウイルスが終息したら、また日本に来る予定だそうです。その時、お会いしましょう、と約束しています。楽しみです。守谷市民大学にご案内して、臨時講師でもやってもらいましょうか?
5月の学長ブログ
すでにご承知かもしれませんが、もりや市民大学は、今年1年間の休校を決めました。できるだけ同じ内容のプログラムを、来年の4月以降に開校したいと考えています。この決定につき、講義を引き受けて下さった講師の皆さん、受講を予定されていた市民の皆さんに、お詫び申し上げるとともに、ご理解のほどを宜しくお願いいたします。
さてさて、「今日の感染者数は?」が一番の関心事になりました。まず、東京都が100人以下、いやいや50人以下だと、ややほっとします。次に、茨城県内の感染者が0で留まっていると、「良かった」と思います。そういえば、守谷市は?と考えてスマホのMorinfoをのぞき込み、当然ながら感染者なしを確認します。その後、大阪はどうか、全国はどうか、ニューヨークはどうなった?世界は?と関心が広がり、ついにアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計にまで到達します。
この、ジョンズ・ホプキンス大学が気になって調べてみました。アメリカ東海岸のメリーランド州ボルチモアに本部を置く医学系の私立大学だそうです。なんでも、ノーベル賞36人を輩出している、世界屈指の医学部を有するアメリカ最難関大学のひとつとか。実は、私はボルチモアに行ったことがあるので、懐かしく思います。かつて、研究者の卵としてカリフォルニア州に留学していた時代に、飛行機でワシントンへ行き、スミソニアン博物館を見学していた時のことです。幼い我が子2人(男)が、「こんなとこ、つまんない」とむずかるので、止むを得ず地図で(当時スマホはありませんでした)遊園地の所在を探し、ワシントンからボルチモアの遊園地へアムトラック鉄道で移動したのです。子供らは、こじんまりした遊園地でたいそう満足していました。
あの、思い出のボルチモアにこんな立派な大学があったとは、知りませんでした。あれから37年にして初めて知ったのです。それにしても、世界中のコロナウイルス感染に関わる統計データを一手に引き受け、それを瞬時に世界へ発信し続ける仕組みは、どのようなものなのでしょう?一大学が国を超えて世界の状況を把握し、政府や国際機関よりも高い信頼を得てその情報を発信するという姿に、感動と驚きを禁じえません。何人くらいのどんな人が実務を担当しているのでしょうね?スゴイです。
4月の学長ブログ
新聞を開く、ラジオをつける、テレビをつける、スマ―トフォンを開ける、どれをやっても、目に飛び込んでくるのは新型コロナウイルスのことばかりです。COVID-19と呼ぶ人もいますが、これはウイルスのことではなく、感染して起こす肺炎の名称だそうです。
そんな中で、読書はささやかな癒しを与えてくれます。外出を控えよ、と言われてから私が読んだ本をご紹介しましょう。図書館に依頼して半年間待ち、ようやく順番が回ってきた本、イタリア人理論物理学者カルロ・ロヴェッツリの著書「時間は存在しない」を読んでみました。タイトルに引かれて読みましたが、原題はThe Order of Time(時間の秩序)でした。翻訳者と出版社がインパクトを強めるために意訳したようで、私も見事につかまりました。「時間」をめぐり、アインシュタイン、ループ量子重力理論、エントロピーの増大、スピンネットワーク、など、強烈なキーワードを用い、分かりやすいたとえを多く使って読ませます。分かったような気にさせる本でした。もう一冊は、1000ページという分厚い「虚数の情緒」(吉田武著)です。中学生から読める独学のための本だそうです。自然数や九九の計算から始まり、無理数、実数、虚数、指数、振子、重力へと進み、最後には場の量子論、量子脳力学まで連れていくというとんでもない本で、一人の著者がここまで広くカバーできるものか、と驚嘆します。その中で、野球のバッティング理論も展開し、これが案外参考になったりするのです。なぜか、愛読書の1つになりました。
難しい本ばかり読んでいるとお思いでしょうが、ご安心ください。一方で、アンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」(上・下)を読みました。ミステリの最高峰などと宣伝されていたので、どれどれ、と手にしてみました。「それかよ?そう持っていくの?」とびっくりしました。面白いけどちょっと釈然としません。気になって、同じ作者の「007逆襲のトリガー」も読みました。おなじみジェームスボンドが活躍するサスペンス。まあ、いいかな、と許容しました。同じ著者によるもう一冊「メインテーマは殺人」は手元にあって、これから読みます。
こんな具合です。私の友人(北大の名誉教授)は、こんな時だから、と土壌学の専門書を読み直しているそうです。自分の専門分野の周辺を勉強しなおす、という考えも納得です。そこにも新発見があるのだそうです。家に閉じこもる日々、何か楽しみがないといけませんね。そうそう、「ジャズ・スタンダード・バイブル(ジャズ・ピアノ・エチュード)」も、私の新たな一冊に加わりました。
3月の学長ブログ
残念ながら、新型コロナウィルスが収まらず、今日(3月13日金曜日)のニュースではニューヨーク株式市場ダウ平均株価が2352ドル下落し、日経平均株価が17000円を下回るなど、その影響が拡大しています。無観客大相撲、春の選抜高校野球大会中止、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンの休業、ブロードウエーのミュージカルやオペラの休演など、信じられないニュースが飛び交っています。そして、ついに東京オリンピック開催の可否についても現実的な判断を迫られるに至りました。
そんな中、もりや市民大学でも、2月29日「総合コース:花のまちづくりの活動について」を録画ユーチューブ方式への切替え、3月7日の総合コース修了式中止、3月14日「オープンコース:はじめてのグリーンづくり講座」中止、3月18日運営委員会の中止、3月28日の公開講座中止、などを決めました。時間と労力を注いで実現までこぎつけた様々な計画が、このウィルスの影響で中止や延期に追い込まれています。それでも、私たちは6月開講コースの実現をめざします。
新聞やテレビなどでは、新型コロナウィルス関連ニュースでほとんどが覆われる中、ところどころで5月以降のイベント案内や海外旅行案内などが出ています。そうしたコマーシャルを見るにつけ、この問題が何とか収まってくれるよう、そして一日も早く普通の日常が戻ってきますように、という、我々と同じ願いを感じずにはいられません。もりや市民大学も、今年の新しいプログラムを用意し、いま、まさに市民の皆様に広くお伝えしようと準備中なのです。
世界中での「今後どうなる?」との思いが、対コロナウィルスへの有力な反撃力となるよう祈るばかりです。One Earth、地球は一つ、といった標語が、こんな形で現れるとは思ってもみませんでした。SF小説をはるかに凌ぐ、ウィルス対人類の壮絶な闘い、この結末を正しく見通すシナリオはありません。「明日は我が身」がますます現実味を帯びてきました。手洗いとうがいを励行し、じっと耐える、それしか見えません。
2月の学長ブログ
1月の学長ブログで「上海の発展ぶりを見てきました」と得意げに述べたところ、その直後から新型コロナウィルス問題が発生し、瞬く間に中国からアジア、さらには全世界にまで影響が広まってしまいました。私も、「あなた、上海に行ってきた人?ウイルス運んでない?」と言われることを覚悟しなければなりません。まあ、1か月半経過しても何も起こらないので、危うく難を逃れたのかもしれません。
難を逃れた人は幸運です。しかし、予想だにしなかった難に見舞われ、そこから逃れることができなかった方が大勢おられます。他人事とは思えません。「あんな豪華客船に、一度は乗ってみたい」は、どんな家庭でも話題に上るはずです。我が家も例外ではありませんでした。現在、船内に閉じ込められている皆さんも、全く同じ思いで乗船された方々が多いことでしょう。忍耐強く、問題解消を待たれている方々のお気持ちは、察するに余りあります。
2つのことを考えさせられます。1つは、これまでのところ、感染者を「犯人扱い」するような報道や情報は発信されていないことです。理性がパニックを抑え、冷静さが勝っているものと考えています。2つ目は、「東洋人お断り」のような差別的対応が、主としてヨーロッパ方面から聞こえてくることです。これに対しては、怒りより悲しさが先に沸き上がります。風評被害の悲しさは、東日本大震災など身近で何度も経験しているはずです。恐らく、逆の現象、つまり冷静で差別しない善意も数多く働いているが、それはニュースにならないのだろうと思います。
現在の新型コロナウィルス問題については、どなたも心配して成り行きを注視しておられます。今よりもっと深刻な事態に推移する可能性も無いとは言えません。ただただ、これ以上悲劇的な問題が加わらないこと、今回の大事件から人類共通の教訓を深く学び取ること、そうしたことを祈るばかりです。
1月の学長ブログ
あけましておめでとうございます。お正月は5日まで休みがたっぷりで、お出かけの方も多かったことでしょう。かく言う私も、実は上海にお邪魔してきました。息子世代が3家族集合計画を立ててくれたものです。最も、そのうち1家族は、年末のインフルエンザに巻き込まれ、参加取りやめとなりましたが・・・。
その上海について、3つばかり気づいたことをご報告します。最近、香港や台湾の政治情勢を伝えるニュースが多いですが、上海のことはあまり話題に上っていません。そこで、私が行って直接感じたことを話題に乗せてみます。その①、正月だというのに、特に混雑やお祭り気分が見当たらない、まるで平日のまま、という雰囲気でした。日本語がうまいガイドの中国人に聞いてみると、1月1日、2日、3日とも、特に行事はない、みんな春節待ち、つまり1月25日を中心として24日から30日までの春節休みを心待ちにしているとのこと。お国柄の違いを感じました。
その②、街が静かで清潔なのです。特に道路がうるさくない。ふと気づくと、バイクの音がしないのです。たくさんのバイクが走っているのに音がしない。おやっと思って聞くと、上海のバイクはすべて電動バイクに変わったそうです。だから、バイクの音は自転車並みなのです。こりゃ静かになる訳だ、と納得しました。その③、子連れ家族が見当たらないのです。こざっぱりした若者がとても多いのですが、子供ががやがやしている様子がないのです。いるとすれば我々のような日本人観光客です。どうやら、中国の一人っ子政策の影響で、兄弟のいない若者世代が社会の前面に出てきて活躍中らしいのです。「大勢の子供ががやがやしている貧しい生活者」といった昔の中国の面影がありません。
だからどう、といった話ではありませんが、ニュースにならない肌感覚の中国を見てきて、世の中は刻々と変化することを身に染みて感じました。古い記憶や経験だけで物事を判断してはいけない、今現在の姿を直接見聞きすることは大切、と思いました。もりや市民大学で学びなおすのも、同じ目的かもしれません。今の守谷、今の日本、今の世界を学びましょう。今年もどうぞよろしくお願いします。
12月の学長ブログ
菅原文太をご存じですか?そう、やくざ映画「仁義なき戦い」などで有名となり、トラック野郎シリーズの主役でも有名な往年の東映映画スターです。その菅原文太がナレーションをしているDVDに「アフガンに命の水を」(ペシャワール会、2009年)があります。あの、アフガニスタンンで射殺された中村哲医師の活動を追ったドキュメンタリー映画です。菅原文太は、俳優引退後、山梨県に居住して農業を営みながら、こういった声優のような仕事を続けていました。そして、作成直後のDVDを山梨県庁にも届けていたのです。
当時、山梨県公共事業評価委員長を担当していた私は、早速そのDVDを譲っていただき、大学での講義や研究室でのセミナーなどで活用しました。このDVDで中村哲医師の不屈の努力と貢献を知った誰もが、その活動に敬服し、感動しました。ですから、今回のテロ攻撃には、怒り、悲しみ、失望、などが入り混じる思いです。非常に残念です。
戦争に武器はいらない。食べるものがまず必要です。誰もが食べて生活できるようになれば、戦争にはならない、と断言し、アフガニスタンの乾いた大地に全長25.5kmの水路を建設し、3000ヘクタールに及ぶ大規模な農地を作り、15万人以上の灌漑農業従事者を生んだ中村哲医師の行動力には、頭が下がるばかりです。しかも、現地の人たちと接する姿は、あくまでも自然体。DVDを通して、中村哲医師がいかに人々に信頼されていたかが分かります。
菅原文太が生きていたら、きっと悔しがることでしょう。「俺が行って、たたっ切ってやる」とやくざセリフを言うでしょうか?いやいや、晩年の菅原文太は、農業を愛し、ニコニコした好々爺でした。中村哲さんをあの世で迎え入れ、「ようやってくれた。お疲れさん。なーに、後を継ぐ若者がちゃんとやってくれますよ」と慰めている頃だと思います。この俳優さん、何となく憎めないお人柄でした。