学長ブログ

8月の学長ブログ

 忘れてはならない日々が、8月上旬に集中しています。8月6日、9日、11日、15日です。広島原爆投下、長崎原爆投下、山の日、終戦記念日が、それぞれの該当日です。現代の若者に「今日は何の日?」と聞くと、これらの日を答えられない、といった嘆きの声がテレビレポーターなどから上がっていましたが、実は、熟年以上の私たちもこれらの日を即答できるかどうか、怪しいのです。

 日々のニュースで「覚えていない」「記憶にない」といったセリフに怒りを覚えることの多い昨今ですが、自分に当てはめると愕然とします。本当に「覚えていない」「記憶にない」のです。外出中に、ふとある映画俳優の顔が目に浮かぶ時がありました。分かっているのです。彼が何者であり、どんな声、どんな演技をするのかもはっきり思い出します。ところが彼の名前が出てこない。うーん、と唸りながら何とか名前を思い出そうとするのですが、記憶の引き出しが開かない、と感じると、もうだめです。いくら絞っても名前が出てこない。そんな時は、諦めが肝心です。思い出すことを止めるのです。そして、別のことを考えたり行動したりして、一度心の外に出してしまうと、ある時フッと思い出すのです。その俳優の名前、「渡哲也」でした。

 記憶、脳の働き、こういった話題が高齢者社会の到来とともに、新聞、雑誌、インターネット上で多出しています。ちゃっかり薬の宣伝をしたり、食べ物で記憶が良くなることを説明したり、生活スタイルの改善を指南する記事も出回っています。能トレを趣味としている方もおられるでしょう。

 私の理解はこうです。人間、興味のあることは良く覚えているが、興味のないことはすぐに忘れる。年齢と共にそれが極端になる。ということです。だから、いろいろなことに興味を持つことが肝心なのでしょう。先日のスイス旅行では、ガイドさんが山の花の名前を次々に教えてくれました。が、何一つ覚えていません。実は、私、花の名前に興味がないのです。一切、覚えることができません。問題は、人間の名前です。目の前の人は、確かに会ったことがあるのに、名前が出てこない。これは「あなたに興味ありません」を意味するとしたら、何と失礼なことか。そうそう、冒頭の8月11日(山の日)ですが、実は私の誕生日です。興味、無いですよね・・・。

7月の学長ブログ

 今回は、もりや市民大学の受講生に読んでもらいたいことを書きます。受講生の多くは、毎回の講義を受けて「良かった」「ためになった」「今後に生かせる」などの感想を寄せてくれます。しかし、その受講内容が何であったかは、感想からは伝わりません。

 もりや市民大学の講義内容は、ビデオ記録などで後日見ることもできますが、その利用方法は限られています。それより、受講生の口から具体的に講義内容の特に良かったことなどを聞けると、とてもラッキーな思いがします。つまり、私が言いたいのは、受講生のみなさん、もっと自慢して周りに伝えてください、ということです。実際、運営委員やサポーターの間でも、担当したり聴講したりできる講義は限られていますから、担当以外のコースでどんなことがあったか、とても知りたいのです。そして、その話を聞いて、さらなる運営の参考にしたくなります。もっと言えば、「市民大学ではどんなことを教えているの?」という率直な疑問を持っている市民はとても多く、できれば講義内容の一端でも知りたいと思っているはずです。私も何度も聞かれます。

 新聞や雑誌にある「書評」は、その取り上げた本の特徴を短い文章で描き出し、読者が読んでみたくなるように刺激します。私も、そうした「書評」を見て買い求めた本は少なくありません。映画、演劇、演奏会の類も、良い評論に出会うと自分も見たり聞いたりしたくなります。それと同じ効果が、日常会話でも期待できると思います。

 と言う次第で、受講生や聴講生の皆さん、どうぞ受講内容を周囲に語ってください。世間話やマスコミ情報とは一味違う、生きた知識を広めるのです。何の遠慮がいりましょう?実は、7月6日で終了したオープンコース「香りの力で心と体にやさしい健康法」全4回の講義、私は日程が合わず参加できませんでした。だれか、その内容の一部で良いので、私にも教えてくれないかなー、これ、本音です。

6月の学長ブログ

 もりや市民大学は、2012年(平成24年)10月に開校しました。以来5年目を迎え、6月10日に今期の開講式を挙行しました。「総合コース・守谷を知る」は35名、「専門コース・守谷をもっと良くしようプロジェクト」は14名、「「専門コース・健康ウォーキングマスター講座」は35名、「オープンコース・香りの力で心と体にやさしい健康法」は15名、「オープンコース・大学院生が教える夏休み自由研究」の募集はこれから、という開講でした。今期入学者の延べ人数は99人に達しました。ただし、重複受講生もおられるので、入学者実数はそれより下回ります。

 その開講式ですが、毎回、学長挨拶、市長挨拶があり、続いて市役所総務部の代表者から守谷市の総合計画について「市政講座」を受講し、オリエンテーションを経て閉会します。市長、副市長、教育長ほか、多数の守谷市幹部の皆さんが臨席して下さるのは、大変ありがたいことです。長年、会田前市長にご挨拶頂いてきましたが、今回から松丸新市長にご挨拶頂いたのも新鮮でした。

 今回の学長挨拶では、囲碁や将棋で有名になったディープラーニングを取り上げました。現役棋士をなぎ倒したコンピューターソフトの俗称です。私はディープラーニングについて何かを知っているわけではありません。ただ、これまでの人工知能が全ての可能性を評価して最適値を得るものだったとすれば、ディープラーニングは過去の限られた経験を学習してより良い答えを導き出す、といったロジックを持っているようです。これは、もりや市民大学と似ているなと思いました。「総合コース・守谷を知る」はディープラーニングのコースである、と述べてしまいました。

 兎にも角にも、6月開講コースの始まりです。秋の修了式までに何が得られるか、そして、その後にどんな協働の姿が提起されるのか、楽しみにしています。新入生の皆さん、どうぞ最後まで出席して双方向授業を作っていって下さい。もりや市民大学は、延べ1000人の修了生を出すことを目指して、市民の皆さんと共に歩み続けます

5月の学長ブログ

  かつて、世阿弥の「風姿花伝」を読んだとき、深く感じるところがありました。曰く、20代の頃は何をやっても華があり、皆がほめてくれるが、慢心せずに精進することが大事で、30代こそ本当の実力を身につけるときであり、40代になると本物だけが評価されるようになり、下り坂の50代でも、本物であれば控えめに振る舞うことでそこに華がある、といった内容だったと思います。
 そこで、最近の20代、30代、40代、50代以降がどんなふうに見えるか、と私自身の周りを眺めてみました。20代というと大学の学部学生や大学院生です。私が毎週講義に行っている私立大学の学生諸君ですが、爽やかで素直な若者が多いと感じています。高齢者に向かって反抗的な言動や批判的な言葉を浴びせる若者は皆無、といっても良いほどです。
 東京都内のある会社に縁があり、毎週出向いていますが、そこでは30代の会社員たちと交流があります。彼らは何でもできるのですが、自信を持っていないような気がします。バブル崩壊という時期に青年期を送っており、現実を直視する目が肥えているのかな、その分、夢を語るほどの大言壮語ができなくなったのかな、と少し心配です。
 40代は現在猛烈に忙しくて、私の相手をしてくれる人は多くありません(私事で言えば息子世代です)。それなりに社会的責任を自覚して今現在の世の中を支えてくれているような感じです。
 50代の皆さんはちょっとした強さを持っていると思います。かつては50代といえばゴール前の最終段階でしたが、今の50代は次に何をするかという準備をしつつ将来を考えています。長い老後を覚悟しているようです。
 そして「風姿花伝」では寿命が尽きているはずの60代ですが、多様性に満ちています。過去の延長線上で頑張る人、過去と決別して今を充実させている人、新たな仕事を見つけて家計を支え続ける人、新しい自己開発や趣味に挑戦する人、社会のために貢献することを信条とする人、全く十人十色とはよく言ったもので、どう見ても「控えめの人生」とは思えません。そう、我々は、世阿弥の知らない世界を生きているのです。今月は、妙に気合が入りました。

4月の学長ブログ

 岩波新書「シルバー・デモクラシー」―戦後世代の覚悟と責任―(寺島実郎著)という本を読みました。今年1月の出版です。本屋さんの店頭で、このタイトルに惹かれて買い求めました。

 デモクラシーつまり民主主義が、なかなか良い働きをしてくれないことに、我々は皆気づいています。民主主義さえあれば平和と幸福と繁栄がもたらされる、と甘い考えを抱いていたのが、いろいろな場面で壊されています。そんなとき、シルバー限定のデモクラシーって何?と興味を持ちました。

 何しろ、アメリカでトランプ大統領を選んだのも民主主義、日本で安倍首相が高い支持率を維持しているのも民主主義です。民主主義がどうも怪しい、或いは、危うい、と感じている方は決して少なくないと思います。寺島実郎氏は、ここでシルバー・デモクラシーという概念を提起します。この本によると、日本でも世界でも、高齢者の意見が世論を左右しており、例えばイギリスのEU離脱も、20代の若者の66%は残留支持だったのに、43歳以上の世代では離脱派が過半数であったといいます。2016年の日本の参院選では、高齢者の投票率が70%近いのに、20代の投票率はその半分程度だったことから、日本の政治的意思決定は「老人の、老人による、老人のための政治」となりつつあると指摘します。これがシルバー・デモクラシーです。

 寺島氏は、「団塊の世代は戦後日本人の先頭世代としての責任をまだ果たしていない」と断言し、自分の世代が果たすべき役割がある、と意気盛んなのです。いやいや、お元気な方がおられるな、と感心し、その経歴を見せていただくと、早稲田大学政治学の大学院を出て、三井物産の重役を勤めた上に一般財団法人日本総合研究所の会長に就任され、多くの要職に就かれています。そして、生年月日を見たら、何と私と同年同月同日生まれの御仁でした。運勢占いもご一緒です。勝手ながら不思議なご縁を感じました。

3月の学長ブログ

 3月は、卒業、修了、異動、転居など、人生の節目になる行事が集中する月です。もりや市民大学も、この3月11日をもって平成28年度の全てのコースを終了しました。

 総合コース「守谷を知る」では、定員25名のところ申込者が40名に登り、全員入学を認めました。7割以上の出席をされた36人が、無事、修了証を手にしました。このコースでは、防災、医療、経済、教育、若者、JA、行政、環境、健康といった幅広い知識を習得できましたが、「ここで学んだことを、守谷の協働にどう生かすのか?」がこれからの課題です。

 専門コース「コミュニティービジネス・地域課題解決」は、定員20名のところ27名の申込みがあり、全員入学して22名が修了しました。このコースの最大の特徴は、平均年齢の若さです。30代、40代の受講生も多く、平均年齢57才は、最若記録です。修了生の多くが、ここで得た新しい知識を今後に生かしたい、と意欲に満ちた感想を述べたのが印象的です。

 専門コース「楽しく健康づくりニュースポーツの世界」は、定員20名のところ19名の申込み、12名の修了者でした。人数は少なかったのですが、毎回、とても楽しそうでした。最終回では、健康運動指導士、屋嘉部先生のリードでワークショップが進行し、今後、地域や仲間でリーダーやファシリテータとして活躍したいとの決意が満ちていました。

 オープンコース「Thursday night course in MORIYA Part4」は、イオンタウン守谷のコミュニティーホールで開かれましたが、毎回、驚くほどの多人数の参加で、こうしたコースの必要性がとても高いことが認識できます。講師良し、参加者(女性多い)良し、進行良し、と3拍子揃っているのが強みです。

 オープンコース「守谷市美術部!アートへの関わり方講座」は、兎に角アートです。参加すると、日常と切り離された異次元を体験します。このコースをお世話した運営委員が、そろって“目が覚めたような”不思議な表情で教室の様子を報告するので、きっと、参加者の多くが異次元体験を楽しんだのだな、と理解しました。

2月の学長ブログ

 もりや市民大学の運営委員会を重ねながら常々思っているのですが、我々が外部の方に講師を依頼すると、不思議なことにまず断られることがありません。非常に限られた予算の中で講義をお願いするので、交渉に際しては恐縮しつつお願いする、という具合なのですが、その際、断られるケースは、「どうしてもスケジュールが合わない」「所属組織からの了解が得にくい」といった理由がある場合で、それ以外では、皆さん快く引き受けてくださいます。このことに感謝しています。

 で、最近特に感じる特徴ですが、お引き受け頂いた講師の方が、「ここでやめてしまうのはもったいない、もっと先に進めましょう」といって、講師のリピーターを率先して引き受けてくださることです。この現象については、我々運営委員も、やや驚いています。受講生が「もりや市民大学、おもしろい」といってリピーターになって下さるのは大変ありがたいのですが、まさか講師の方々まで「もっとやりましょう」というリピーターを希望される、これは何でしょうか?

 思うに、もりや市民大学の教室は、いわゆる「手応え」があるのかも知れません。市民向け講義ということで、できるだけ分かりやすく話をされるよう、講師の方々は工夫をしてこられます。講義の後は、質疑応答が続きます。この時間帯で、講師の先生方は「ここの受講生はちょっと違う。生涯学習のように知識の充実を求めているだけではなく、守谷を良くするために自分たちでできることは何か、を真剣に求めている」と気付かれるのでしょう。

 以上のような最近の特徴は、例えば平成28年後期のコミュニティービジネスを担当された柳田公市先生、健康づくりニュースポーツを担当された徳田太郎先生、そして、3月25日予定の公開講座講師、宇佐美彰朗先生までもが、次の専門コース設計に向けて準備中だったり考慮中だったりされています。オープンコースの講師の方々からも、単発で終わらせず継続を、と望む声が多く出ています。全く有難いことで、運営委員一同は、お招きしている先生方に感謝すると同時に、「うちの受講生は、そんじょそこらの市民大学受講生とはちと違いますぞ」といったささやかな自信も抱きつつあるのです。ま、そうは言っても、目に見える成果を出していかなければ、ささやかなままで終わってしまいます。受講生の皆さん、リピーター先生の多いわが市民大学、稀勢の里といっしょに「恩返し」を頑張りましょう。

1月の学長ブログ

  新年、明けましておめでとうございます。今年一年が、皆様にとって良い年であるよう、心から願わずにはおれません。平成29年、2017年、どちらもやや記憶しにくい数字で、書類を書くとき気をつけないと間違えそうです。もう一年先は覚えやすい年号ですが。

 さて、2017年はどんな年になるのでしょうか?まずはアメリカのトランプ新大統領です。オバマさんが1月10日に行った最後の演説で、アメリカは「自由に選出された1人の大統領から次の大統領へと力が平和裏に移行するのです。ちょうどブッシュ大統領が私に対してしたように、私も次期大統領トランプに、私の政治ができる限りスムーズに移行できるように、完全に引き渡します。」と述べました。しかし、アメリカのマスコミは、この退任演説自体が前例の少ない異常事態であり、トランプ新政権への危機感の表れではないか、と分析しているそうです。

 東京大学の元総長である佐々木毅氏は、アメリカ国民がトランプ政権を選択したということは、「経済のグローバル化と一国民主政との矛盾」が噴出したもの、と解説しています。つまり、経済のグローバル化を推し進めていくと、一つの国の中での平等、公平、安心、平和といった民主主義の根幹が揺らいでしまう、かといってグローバル化を拒絶して一つの国内だけの国民の幸せを孤立的に求めていけば、グローバリズムに真っ向から対抗する保護主義に陥ってしまう、という訳です。確かに矛盾です。

 2017年は、歴史の大きな矛盾を全人類が体験することになりそうです。さて、守谷市民の皆さん、こうした世界の動きが、どうやら我々の日常的な市民生活と無縁ではないようです。そこのところを意識して、市民大学をますます充実させ、時代に遅れをとらず、良い時代を築く為、引き続き学びの機会を大切にしましょう。もりや市民大学では、時代の動きを見ながら、さらに充実したコースを設計して皆様をお待ちします。

12月の学長ブログ

 予想外の論文原稿を依頼されて困っています。私は、土と水というシンプルな自然物が見せる不思議な現象を基礎的に研究することが専門で、室内実験や理論解析が得意でした。土の中では水蒸気はどんな風に動くか、とか、平地に浸透する雨水と傾斜地に浸透する雨水に違いがあるか、とか、土壌微生物が関与すると土の中の水やガス(CO2やO2)の移動はどう変化するか、などといった、すぐには役に立たない研究ばかりやってきました。今回、オートファジーの研究でノーベル医学・生理学賞を受賞された大隅博士も、すぐに役立つ研究にばかりお金を注ぎ込まないで、もっと基礎研究を大切にしなさい、と口を酸っぱくして主張されています。
 さて、そんな私に、ある科学雑誌編集部から、「地球温暖化で水資源や耕作適地はどうなってしまうのか?」を4回連載で論文にせよ、という注文が届きました。まさに、役に立つ研究です。しかも、今現在の問題だけでなく、未来予測に基づく人類の危機を説明せよ、という訳です。学生の期末試験でレポート課題に出したいような良問です。
 おかげで、今年の年末、年始はこの連載論文に頭を悩まされ、きっと追い詰められた夢ばかり見ることでしょう。初夢??そんな楽しい話ではなくなりました。しかし、気候変動や温室効果は、地球全体にそれほどの暗雲をもたらしているのでしょうか?ちょうど、福島第一原発事故後の放射性物質拡散の問題と類似していて、「非常に深刻な問題である」から「それほど騒ぐ必要がない」まで、専門家の間でも広く意見が分かれています。同様に、地球温暖化問題も、「このままでは人類は滅びる」から「それほど大騒ぎする必要なし」まで、やはり見解が分かれます。一般社会人は、要するにどうなんだ、と科学者や専門家を問い詰めます。今回、私が問い詰められた次第です。
 これからこの難題に立ち向かう私は、自分の立ち位置をどこに置くか、忘年会・新年会の宴会席上でも悶々と悩んでいるわけです(はたから見ると楽しく酔っ払っているように見えると思いますが・・・)。私としては、何事にせよ「ファクトファースト」で行きたい訳でして、そのファクト(事実、実態)を見つけ出すことに苦労します。こうして、「私は困っています」と白状して今年を終えたいと思います。皆様、良いお年をお迎えください(できれば私も)。

11月の学長ブログ

 11月5日は、もりや市民大学11月開講コースの開講式でした。当日出席された入学者50名の方々に入学時アンケートへの記載をお願いし、回収しました。その結果を見ると、入学動機は「自治会や町内会の活動など、まちづくりに関する様々な地域活動に興味を持っていた」「自分の住む町について知りたいと思っていた」が約60%を占めていました。また、協働のまちづくりに今後参加したいかどうかを尋ねたところ、今回初めて市民大学に入学した方々の37%、再入学(リピーター)した方々の68%が、それぞれ参加したい、と回答されました。
 
 もりや市民大学で開講する各コースは、毎回斬新なコース設計となっており、繰り返しの講義はほとんどありません。そのため、何回入学しても新しい知識が吸収でき、協働のまちづくりに関する新たな視点や手法を学ぶことができます。私としては、プログラムを見て初めて入学される方も、やみつきになって(!?)何度でも再入学される方も、ともに歓迎したいと思っています。
 
 それで、「教育効果はどうなのだろう?」という点がしばしば運営委員会の話題になります。延べ600人を超える修了生を輩出しているもりや市民大学は、「協働のまちづくりを担う人材を十分に生み出しているだろうか?」と自問自答する次第です。さて、客観的に見て、どうでしょうか?私は、人材育成はかなり上手く行っていると自画自賛しています。市民大学の修了生は、互いのネットワークを活用するだけでなく、それぞれお住まいの地域でも活動の輪を広げておられます。コミュニティーづくり、認知症予防の地域活動、防災マップ作り、緑のまちづくり、などなど、具体的な動きを掘り出せば、いくらでも出てきます。
 
 これまでの4年余のもりや市民大学の受講生を見ていると、何よりも皆さんが明るく元気になったように思えてなりません。笑顔が増え、動きが生き生きとしておられます。教室の雰囲気も、年々改善され、講師の方との双方向授業づくりも初期に比べて格段に充実してきました(言いたい放題言える、という意味かも知れませんが・・・)。次の目標は、市民活動支援センターから遠いところに居住されている守谷市民がこの大学に入学し易いような手立てを考えることです。市民大学の教室(開講場所)の移動なども視野に入れながら、今後の展開を考えているところです。

10月の学長ブログ

 秋です。突然、秋が訪れたように感じます。前日はクーラーを効かしていたのに、今日は暖房が恋しい。季節の変わり目とはこんなもんだったかな?と今更ながら驚いています。

 この秋、「科学者は災害軽減と持続的社会の形成に役立っているか?」という学術フォーラムが開催されます。「役立っている」、「役立っていない」という答えを見つけよう、という訳ではありません。学術的に優れた研究が即社会の役に立ち、社会に評価されるとは限らないことは、今回のノーベル医学生理学賞「オートファジーの仕組みの解明」を受賞した大隅良典東工大栄誉教授の例でも明らかです。この研究は、細胞の中のたんぱく質やそれを覆う袋のような物質の分解やリサイクル利用につながる話ですが、即社会の役に立つ、とは考えられません。その大隈氏は、競争的資金に走る研究費予算には批判的で、基礎科学の重要性を強調されているそうです。

 では、この問いは、何を意味しているのでしょうか?学術フォーラムでは、「研究者から見た社会への説得力」「水とグローバルリスク」「土壌と持続的食料生産」「気象災害」「地質と地盤情報」「火山災害」「地震災害」「災害と地球環境」「フューチャーアース」などのテーマで、いろいろな専門分野の研究者が科学と社会の関係について持論を展開し、意見交換を行います。何を持って「役に立つ」と言えるのか、その問いは、研究者が常に頭に置き、自らの研究を通してその答えを求めるのです。

 さて、もの思う秋に相応しいこの学術フォーラム、よろしかったらどうぞご参加ください。11月13日(日)13時から、地下鉄千代田線乃木坂駅から1分の日本学術会議講堂で開催されます。参加費無料です。問題は、この中の1件を私が担当することです。私は農学分野の土壌物理学・環境地水学を専門としています。さて、私の担当課題はどれでしょうか?・・・・今月のブログ、しょうもない設問で終わります。

9月の学長ブログ

  オリンピックと都知事選と台風が駆け抜けた今年の夏、何だか短かったように感じます。皆様、それぞれのスケジュールを目一杯消化できたでしょうか?
 私の場合、今年の夏は、海と山と学会、という3イベントが想い出に残りました。まず海ですが、家内の実家が伊豆の下賀茂よりさらに奥にありまして、その実家から伊豆の海に出ることができます。複雑な岩山に囲まれた小さな湾は、外海が荒れていても波はほとんど来ません。その海で貝を取ってきて味噌汁で頂くと、旨いのなんのって・・・。皆さんに差し上げたいほどです。次に山ですが、7歳と3歳の孫も一緒に、親子3代で八ヶ岳連峰2泊の登山に行きました。赤岳は手ごわいので、もう少し下の2600m級の山頂5つを征服しました。7歳の孫に後れを取る自分の年齢を思い知りました。そして、夏の終わりは、仙台市で農業農村工学会という学会に参加しました。台風10号が仙台へ向かったのと同時に、同じ方向へ向かったのです。嵐を越えて参加したのは、私の後輩や教え子4人がそれぞれに学会賞を受賞したので、そのお祝いに駆け付けたかったからです。
 この間、8月27日に開催したもりや市民大学公開講座「芥川賞選考の舞台裏に迫る」は、読売新聞文化部編集委員の鵜飼哲夫氏(守谷市在住)を迎えての講座でした。市民交流プラザの円形ドームに集まった100名ほどの聴衆は、鵜飼氏の淡々とした、それでいて取材経験に基づくリアルなお話に酔いました。太宰治や石川達三、吉村昭、石原慎太郎、又吉直樹といった候補者や受賞者、更にはこうした人々を選考する川端康成、三島由紀夫、大江健三郎などの著名人たちの生の声を伝えてくれました。本当に面白かったです。特に、受賞を逃した人々の話が人間的で楽しかったです。
 さあ、今度は秋、秋は収穫の季節です。畑からも田んぼからも、そして市民大学の教室からも、それぞれの収穫を挙げたいですね。

8月の学長ブログ

 このブログを読んでくださる皆様、暑中お見舞い申し上げます。学長ブログのネタを見つけるのは、なかなか大変です。お察しください。そこで、今月は仲間の噂話を書きます。市民大学の運営委員の噂、です。アルファベットの頭文字を使うとご本人が特定されてしまいますので、分からないようにA,B,C・・・を使います。

 Aさんは、スポーツマンです。いえ、Bさんもスポーツマンですが、Aさんの方が太陽に当たる時間が長いです。CさんとDさんはともに現役の大学院生ですが、卒業後の進路はDさんの方がはっきり決まっています。EさんとFさんは、ともに町内会や自治会活動の重鎮で、様々な地域活動を指導しておられますが、女性に親切なのがEさんで、女性が親切なのはFさんでしょうか(私見です)。GさんとHさんはパソコンやインターネットが得意であり、Hさんは、弟さんが時々協力してくれるようです。IさんとJさんは、どちらもおしゃれですが、砂漠でもおしゃれが通用しそうなのはIさんです。Kさんは、ウォークマンですが、ソニーではありません。Lさんは、こんな上司の下で働きたいなと思わせるナイスガイです。Mさんがクラシック音楽狂と知っている人は少ないかもしれません。そしてNさんは、持てる力を秘めた我が運営委員会の秘密兵器です。 

 ブログを使って遊んでしまいました。ネタ切れなのと、38℃(今日の羽田空港の最高気温)という猛暑に免じてお許しください。来月は、大所高所からテーマを見つけてきます。

 「心頭滅却すれば火もまた涼し」とやせ我慢するか、「喉が渇く前に水分補給を」「室内での熱中症対策としてエアコンを適切に使用するように」というアドバイスに素直に従うか、いずれにせよ、夏休みを楽しくお過ごしください。

7月の学長ブログ

 7月10日夜、「もりや市民大学オープンコース、若者の力を取り入れよう!」という教室の第2回目がひらかれました。この日、参議院選当日とぶつかり、昼間の気温が30℃を大きく超えた暑い日となったので、オープンコースへの参加者が少ないのではないか、と危惧しました。が、ふたを開けてみると、いつの間にか教室一杯の市民が集まり、筑波大学T-actという活動紹介の話を聞きました。
 講師は筑波大学助教の黒田先生が連れてきた現役筑波大学生(3年生と1年生、5人)。1つのグループは、昨年立ち上げた「盆LIVE」企画の実績と今年の計画を、他のグループは、「世界一大きな授業2016」という地域連携の取り組みを、それぞれ紹介してくれました。現役学生さんを講師とし、神妙な顔でその講義を聴くシニア世代。そこには、確かに教える側と教わる側の、整然とした「市民大学」教室がありました。
 さて、「盆LIVE」の面白さ(盆踊りとミュージシャンライヴとの融合)についても報告したいのですが、ここは省略し、後半の「世界一大きな授業2016」について、新たに知ったことをご紹介します。実は、世界で文字を読めない成人の人口は7億7600万人と推計されているそうです。世界人口は、現在73億人を超えています。私が生まれた時の世界人口は約25億人でしたから、その3倍弱に膨れ上がっています。この世界人口の中で、飢餓に瀕している人口は7億9000万人、安全な飲料水を利用できない人口は8億8400万人、世界の貧困層人口もおよそ8億人、と公表されていますから、文字を読めない成人の数ともほぼ一致します。飢餓、水不足、貧困、文字が読めない、の何れも約8億人だ、という数値データは、それぞれ独立した情報として収集されたはずですから、意図的な一致ではありません。もちろん、8億人が同一人間に重なっているとは言えず、それぞれ別の地域、別の国で起きている問題ですが、総量は、それぞれがほぼ同じ8億人になるのです。
 平和と豊かさを併せもつ持続可能な社会を実現するには、地球人口の8億人に手を差し伸べる必要がある、ということです。どうやら、まず自国の利益を最優先して既得権を保持する、といった例の大統領候補者の主張とは逆のことを考えなければ、この問題は解決しません。日本はどうするか、若ものは、すでにこういう視野をもって活動を開始しています。「盆LIVE」では外国人留学生が参加しやすいように配慮するそうですし、「世界一大きな授業」は筑波大学周辺の小中学校で開講予定だそうです。参院選当日の夜、もりや市民大学のオープンコースで、こうしたことを学びました。

6月の学長ブログ

  「サタデー・ナイト・フィーバー」を記憶しておられる方はどれだけいるだろう?1977年、若者がディスコ文化を爆発させていた時代、アメリカ映画で主演のジョン・トラボルタが一躍有名になりました。当時30歳だった私は、研究論文の虫になっていて、娯楽映画からは遥かに遠ざかっておりましたが、それでも「サタデー・ナイト・フィーバー」という言葉は根深く記憶しています。「あれから40年!、今では※◎★♪」というのはお笑いのセリフですが、そうなんです、もう40年近くが経過したのです。
 ところが、この守谷に「サーズデイ・ナイト・イン・モリヤ」が登場しました。さすがに「フィーバー」は言い過ぎなので、抑えましたが、もりや市民大学がイオンタウン守谷2階コミュニティーホールで開講したオープンコースのことです。昨夜6月9日が第1回目でした。夜7時、ホールに近づくとちょこんと受付があり、中に入ると20名ほどの先客。さて、どんな講義になるのかな、と思いながら聞いていました。講師の西辻さんは守谷で「自然素材西辻弥」という企業を起こした40代の人です。若々しくて、溌剌とした話しぶりに、だんだんと身が入ってきます。その間に、次々と入場者が増え、ホールはほぼ一杯になるほどの盛況ぶり。
 西辻さんが「challenge」と「balance」をキーワードとして頑張ってきたこと、守谷を健康で健全な街にしたいと願っていること、農業生産者と生活者と地域をつなぐために役立ちたいと思っていること、などが熱く語られました。話が終わって拍手が送られたのち、活発な議論が展開され、ホール全体が「食べること」への関心をより強めることになりました。
 大きな拍手で終えた今期第1回のオープンコース、いやー、これなら「フィーバー」と名付けても良かったかな、と思うほどでした。司会の福田さん(市民大学運営委員)のリードの上手さも光っていました。西辻さん、福田さん、そして担当運営委員やサポーター、夜遅くまで1人の退席者も出なかったのは、あなた方のお力によるものです。快く会場を提供下さっているイオンタウンさんにも感謝です。次回以降のオープンコースにも期待しましょう。

5月の学長ブログ

 論語にいう「之を如何せんと曰わざる者には、吾之を如何ともするなきのみ。」という言葉が気に入っています。私の理解では、「どうしよう?とあれこれ悩む人には教えてあげられるが、そうでない人には何も教えられない」といった意味かと考えています。

 要するに、なかなかうまく行かないことがあっても、「どうしたら上手くなれるだろう」「どうすればより良くなれるだろう」と悩む人でないと、導き教えても無駄だ、といったことでしょう。自分で思い当たるのは、50歳で始めた軟式野球、65歳で始めたゴルフ、独学でやっているピアノのことです。どれも、年齢や体力や能力のせいにすれば、うまく行かないことは当然、と割り切ることができます。しかし、練習と工夫によって上達できるのであれば、その分、楽しみが増します。そこで、論語の言うように、「如何せん、如何せん」と悩む日々を積み重ねてきました。

 問題は、あれこれ悩み、教えを乞うても、なかなか上達せず、上手くもならないことです。「論語の教えを守っているのに、効果が出ない!」と、孔子さんに文句を言い始めます。 さて、どうでしょうか?孔子の教えは的確なのでしょうか?たとえば、野球です。少年野球を全く経験しなかった私が、50を超えていきなり軟式野球チームに入り、グローブも初めて買いました。それほどの無知から始めて、今では還暦野球の公式戦に出場できるようになったのですから、多少はできるようになりました。が、チャンスに打てません。ゴルフも若い時の経験が皆無で、65歳にして突如クラブを購入しゴルフ教室に通いました。やっとドライバーを打てるようになりましたが、アプローチがいけません。ダフリとトップのオンパレードです。ピアノは、現在ドビュッシーの「月の光」を練習中。ショパンの幻想即興曲は、ゆっくりなら何とか弾けるようになってきました。

 論語の教えは奥が深いです。今では「悩むべきか、悩まざるべきか、それが問題だ」となってきました。もう諦めようかな、とも思います。この迷い、今度はシェイクスピア的になってきました。支離滅裂です。

4月の学長ブログ

 守谷の散歩は、なかなか楽しいと思います。“幸福の路”ももちろんですが、住宅地を歩くのも快適です。週刊雑誌、日経ビジネスの1月25日号によると、活力ある都市ランキング(全国)の第8位に守谷市がありました。その理由をみると、「空き家が少ない」こと、「治安がよい」こと、「新しい住宅が多い」ことが記載されていました。特に、空き家の少なさは、何と全国1位だそうです。

 そのせいでしょうか、どこを散歩していても、家がきれいだな、とか、庭やアプローチがしゃれているな、などと、つい見とれながらの散歩になります。確かに、廃屋を見ることは滅多にありません。「ふーん、全国1位の住宅街か」などと勝手に解釈しながらの散歩です。この街をもっときれいにできないでしょうか?それも、協働の町づくりという方針の下で、です。

 本年、もりや市民大学の6月開講コースでは、専門コースとして「花のまちづくり園芸講座」を設置しました。ここでは、日本における園芸文化の歴史にも触れ、そして美しい街並みにもつながる家庭での装飾の工夫や公園での市民協働による花壇づくりの技術を習得する予定です。このコースを修了した受講生が、さらに美しい守谷を作ってくださるに違いありません。誠に楽しみです。

 そのうち、日経ビジネスには「最も散歩したくなる街ランキング」という項目を作ってもらいましょう。もちろん、初代1位は、守谷市になるのです。

3月の学長ブログ

 先月のブログで予告したとおり、3月12日土曜日、東京大学農学部の弥生講堂にて、「食料は足りるのか」というテーマのシンポジウムが開催されました。
 「世界の食料問題と日本のポジション」は、名古屋大学の生源寺眞一教授が農業経済学の観点からお話になりました。経済学的なデータ表をたくさん見せてくれましたが、専門的内容に入ると、難しく感じました。「水と気候変動と食料生産」は、東京大学生産技術研究所の沖大幹教授が工学的な予測技術を駆使した最先端知識を展開してくれました。3番目は「人間と食料」というタイトルで私が35分ほど講演しました。聴衆から「分かりやすかった」と言われました。4番目は「魚が獲れなくなることは大問題か?」で、東京大学の黒倉壽教授が問いかけました。海外の専門研究者同士の論争紹介が中心であり、ついていけませんでした。最後の「100億人を扶養するための食料生産:挑戦と課題」は、つくばの国際農林水産研究センターの岩永勝理事長が、ローマクラブ報告「成長の限界」に立返り、包括的・俯瞰的にお話くださいました。
 このシンポジウム、弥生講堂305座席が99%埋まりました。赤ちゃん連れのお母さん、高校生、大学生、大学院生、ジャーナリスト、出版社、農業実践者、高校教師、地方大学教員、主婦、退職者、など、多種多様な参加者が集まり、とても熱心に聞いておられました。食べることへの関心の高さは、どこへ行っても変わらないものだと、改めて感心しました。
 さて、3月26日は、我がもりや市民大学でも脇雅世さんをお迎えして「天皇の料理番の料理番来る!」と題する公開講座を開きます。ここでも、多種多様な参加者で全席満員となることは間違いありません。どんなお話を聞けるか楽しみですね。いつの世も、衣・食・住は、市民最大の関心事といって良いでしょう。ただし、平和な世の中であればこそ、です。 

2月の学長ブログ

  暖冬、と言われて始まったこの冬、確かに「気温が高いな」と思う日々もありましたが、1月から2月にかけて、寒い朝や寒い日が結構続きました。12月末には車をスタッドレスタイヤに履き替え、「いつ雪が降っても大丈夫」と準備してきましたが、これまでのところ守谷では雪が降っていません。せっかくスタッドレスに替えたのだから、1度ぐらい雪が降ってくれても良いな、と思う次第です。
 それにしても、日本人は天気予報が好きだな、と思います。かつてアメリカで1年間在外研究を行ったとき、毎日のテレビで天気予報を見ていましたが、非常に大雑把な印象を受けました。何しろ東西4時間の時差がある国全体の天気予報ですから、予報対象のサイズがでかい。「低気圧が来て風が吹き、天気が荒れるでしょう」といった予報の対象地域は、私が住んでいたカリフォルニア州を含む、オレゴン州、ネバダ州、アリゾナ州などの広域で示されます。確かにおおまかな予報は理解できますが、果たして自分が出歩く時間帯に、その行先で雨が降るか、晴れるか、風が吹くか、などと言った詳細な予報は得られませんでした。日本では、例えば「茨城県南では雨、水戸では雪になるでしょう」などと言った親切な天気予報は、当然と思って受け止めます。しかし、カリフォルニアでは、日常のテレビ番組での天気予報には、そういったピンポイントレベルの天気予報はありませんでした。
 話は変わりますが、海外から見た日本、というものは、恐らく全体としての状況をマクロに感じ取るのだと思います。我々日本人は、常に内部から、細かい違いや変化を敏感に感じ取って生活していますが、全体の状況を感じ取る機会が少ないかもしれません。天気予報のスケール感覚と同じで、自分に直結する詳細を知りたがる割に、全体の動向には案外と鈍感かもしれません。
 そういった次第で、日本の天気、ではなくて、経済や政治や社会といった大きな動向についても、ローカルな理解だけにとどまらず、大局的に感じ取ることが必要だろうと思います。そんな思いを抱きながら、実は、3月に東京大学で開催される「食料は足りるのか」というテーマの公開シンポジウム講演を準備中です。私が話す内容は「人間と土壌」です。世界全体から見て、人間と土壌はどう関わっていけばよいのか、大局的見地からお話しできればいいな、と思案している今日この頃です。

1月の学長ブログ

  明けましておめでとうございます。今年は、年明け早々世界のニュースが飛び込んできて、「日本の正月」を味わう気分が吹っ飛んでしまったかのようです。やれ「サウジアラビア(スンニ派)とイラン(シーア派)が国交断絶」(1月4日)、やれ「日経平均株価も中国株価も世界株価も連続値下がり」(1月4日から)、やれ「北朝鮮が“水爆”実験」(1月6日)、やれ「トルコで自爆テロか」(1月12日)など、お正月のしめ縄飾りをおろす間もなくザワザワしたニュースが飛び込んできました。
 そうこうしているうちに成人式がありました。今年6月19日からは18歳投票権が適用されることもあってか、20歳の新人たちが意外と思慮深い発言をするな、と思いました。自分たちより年下の世代が投票権を持つということで、20歳もうかうかしていられない、と思ったのかもしれません。
 さて、そんなお正月でしたが、皆さんはどのように過ごされたでしょうか?私ですか?いや、恥ずかしくてあまり公開したくないのですが・・・。はい、正直に申しますと、孫との時間を長く持ちました。「ご多分に洩れず」というところです。20kg 近い孫は瞬間的にしか抱っこできません。約15kgの孫は、しばらく抱っこしますが、どさくさまぎれに降ろすか誰かの手に横流ししてしまいます。約10kgの孫は、これなら大丈夫だろうと比較的長く抱っこしますが、その夜は肩が痛くて目が覚めます。というのは、私こと、両肩の腱板を損傷(断裂)しているからです。その原因については、いずれまたご報告します。
 大上段に振りかぶったお正月ブログですが、やや情けないニュースに萎みました。こうしてマイニュースを重ねていくわけですが、世界で深刻化する国際間紛争の犠牲者である難民にも、震災や災害からの復興途上にある方々も、それぞれのマイニュースをお持ちです。彼らのマイニュースと私たち守谷市民のマイニュースが余りにもかけ離れていることに愕然とします。この地球上に同時代を生きている人類、もう少し仲良くできませんかね?今年の私の夢は、この辺にあります(現実はもっと厳しい、というお叱りは甘んじて受けます)。