7月の学長ブログ
白樺派の志賀直哉は、兵庫県の城崎温泉を訪れて「城の崎にて」という短編を書きました。山手線で怪我をしてその治療のために温泉療養に滞在したとか。私は、7月第1週末、その城崎温泉に行って来ました。天気は豪雨。丸山川という大きな川沿いにバスで運ばれて温泉に到着しました。その途中、バスの車窓から見た丸山川の水位が異様に高く、何だか怖いなーと思っていました。
その夜、「先ほどバスで通った国道は、丸山川が氾濫したため通行止めになりました。ここから外に出られなくなりました」というアナウンスがありました。今回の豪雨で、兵庫県にも多量の雨が降り、河川が氾濫したのです。窓の外では、温泉街を流れて丸山川に合流する小規模な河川がありましたが、ゴーゴーと音を立てて流れ、水位もぐいぐい上昇しました。その晩、携帯電話やスマートフォンにエリアメールという警戒情報が発信され、一晩に5~6回けたたましい緊急速報発信音が鳴り響きました。
その後、テレビや新聞、ネット上で報道されている通り、九州、四国、中国、近畿という広域で200人以上の犠牲者が出て、未だ行方不明者が大勢いることを知り、自然災害の恐ろしさを実感しました。災害が身近に迫っているとき、その危険度を察知することは非常に難しいです。何故かわかりませんが、「それほどひどくはならないだろう」という楽観論に傾く傾向があります。そして、実際に災害が起きてみると、想定より甚大な被害が起きたことを思い知らされます。
守谷市でも災害マップ作りや防災訓練を行っていますが、「守谷は大丈夫だろう」という楽観論があります。私自身もこの楽観論に傾いています。しかし、守谷市の中にも災害の度合いが高くなる可能性のある地域があることは否定できません。自分の中にある楽観論を戒め、予想していなかった自然災害に対する備えを怠ってはならない、と考えました。とりあえず、日常的に水を多めに確保しておくこと、車のガソリンは空っぽにしないように気を付けること、ガスや電気が止まってもしばらくは何とか食べて行けるような備蓄をしておくこと、地域のコミュニケーションを大切にすること、などは最低限必要です。
城崎にて、自然災害を甘く見たことを反省し、わが身に起こるかも知れない災害への備えを改めて考えた7月上旬でした。なお、足止めされた城崎温泉からは、1日遅れで脱出できましたが、道路がいたるところで通行止めになっていました。犠牲者には心から哀悼の意を表し、被災地の復旧を祈ります。