学長ブログ

7月の学長ブログ

 現在続行中の専門コース「100歳まで元気に過ごす秘訣―健康寿命が延びるまちづくりを学ぶー」は大好評で、受講者数も出席者数も抜群に多いです。そんな中、7月9日には、株式会社つくばウエルネスリサーチの鶴園卓也先生が、サルコペニア・フレイル予防のお話をしてくださいました。加齢に伴い、筋肉が減少して機能低下につながることをどうやって防ぐか、という有意義な内容でした。特に、ウォーキングだけでは筋肉の減少は防げません、筋肉トレーニングが必要です、というお話には説得力がありました。

 講師の鶴園先生の会社は柏市にあり、柏市内はもちろん、全国的な広がりの中で各地に赴いて講演活動などを続けておられます。豊富なご経験の中から、面白いご指摘をいただきました。それは、「全国各地、どこへ行っても、こういった教室の参加者は圧倒的に女性のほうが多い。6~7割が女性で、残りが男性ということが多い。柏市の場合、女性に引っ張り出された形で男性が参加していることも多いようだ」とのこと。そして、「守谷市では男性の受講生が圧倒的に多いというのは非常に驚いています」ということでした。

 なぜ、もりや市民大学では男性の受講生が圧倒的に多いのでしょう?なぜ、女性の受講者数が少ないのでしょう?ここには、いくつもの疑問が含まれています。コース設計が男性向きに偏っているのか、女性の受講生が再受講したくなる魅力度が欠けているのか、初めから男性が多いので女性が来づらくなっているのか。そういえば、現在の運営委員会も圧倒的に男性の数が上回っています。これは、もりや市民大学の特有な問題ではないか、と思い至った次第です。

 皆さん、ご意見やヒントをいただけませんか?「こうすれば女性受講者を増やすことできる」、「いやいや、そのような努力をする必要はない、自然の流れに任せておけばよい」など、アドバイスをいただければ幸いです。私の意見ですか?私の見たところ、もりや市民大学に集まる男性諸氏は、とてもエネルギッシュで粘り強く、しかも明るい方が多いのです。女性を排除するような気配は見当たりません。交流の機会を増やせば女性も安心して参加できるのではないか、と楽観しています。受講生の過半数が女性となるような魅力的なコース設計をやってみたい、という夢もあります。

6月の学長ブログ

  6月1日に、松丸守谷市長をお迎えして、もりや市民大学6月開講コースの開講式が挙行されました。この日、私が学長挨拶として述べたことを今回のブログとして掲載します。それは、かつて私の恩師から「物事の本質を知るためには4つの目を持ちなさい」と教えられた内容を、受講生の皆さんにお伝えする、という内容でした。

 1つ目は、詳細に見る目、細かいことも見逃さず注意深く見る目です。確かに、注意深く見ることで新たな事実に気づくことはいくらでもあります。不注意はいけません。特に運転中の不注意は絶対にダメです。近頃は「ボーっと生きてんじゃないよ」と怒ってくれるキャラクターもいるようです。

 2つ目は大きな目です。細かいことだけに囚われず、大きな視野で俯瞰的にものごとを見ること、これも大切です。自分の姿を上空の鳥の目から見るような感覚です。全体を見る目、と言ういい方もできます。これは、経験と心がけと知識が必要でしょう。市民大学の講座も大いに参考になります。 

 さて、3番目の目は、心の目です。何事も心で感じ取ること、勿論大切です。美しいと感じたり楽しいと感じたり、深く感動したりする心の動きは、心の目で見てこそ生まれるものです。感性を磨きなさい、と言われたようなものです。最近、良い話を聞いた、とか、良い映画を見た、とか、良い音楽を聴いた、なども心の目を養ってくれます。 

 最後の4番目の目は何でしょう?ちょっと考えてしまうかもしれません。4番目の目とは、時間軸で見る目、つまり過去、現在、未来という時間に沿って物を見る目です。歴史に学び、今を冷静に見極め、なおかつ未来を展望する。まさに目の働きの最高度の役割です。時間軸で物を見る目を養うのに、図書館は立派な助けになります。書を読むことの恩恵は計り知れません。今のスマホパソコンでのデジタル情報は、時間軸で言うと今現在が肥大化し、過去と未来にはそれほど多くのヒントを与えてくれません。私は、読書は時間軸の目を養うためにも大切だと考えています。

 以上、4つの目を持つことの勧めを述べて、学長あいさつに替えました。今期入学者の皆さんが、各コースにおいて大いに収穫を得て、無事に修了証を受け取っていただけることを願っています。

5月の学長ブログ

 「全体の中で部分を知る」という行為は、なかなか難しいと思います。たとえば、もりや市民大学で「守谷を知る」とはどういうことを意味するでしょう?守谷の地理、守谷の歴史、守谷の人などを幅広く知ることは、勿論大切です。しかし、その守谷が茨城県内でどんな特徴を持ち、また、関東全域あるいは日本全体から見てどんな地域なのか、さらに大きく、世界の中の守谷にまで視野を広げ、地元の特徴を知ることも、やはり「守谷を知る」ことになります。

 本学の総合コースでは、そうしたいろいろな観点から「守谷を知る」ことができるようなプログラムを組んでいます。今期6月開講コースでは、東京芸大の向井さんから「アート/日常風景から守谷らしさについて考える」のワークショップを計画して頂き、また、ハッフ・ルイーザさんからは「国際社会/ドイツから来た国際交流員が見た守谷」の講義があります。お陰様で、このコースは毎回好評であり、受講希望者は常に定員を上回っていますが、教室に収容できる限りは全ての希望者の入学を受け入れることにしています。全体を見ながら地域を知り、地域で何ができるかを考える、そのきっかけ作りがここにあります。

 そういえば、「地域」がキーワードになる議論も事欠きません。人間文化研究機構総合地球環境学研究所教授の佐藤哲氏は、その著書の中で、地域のリーダーに求められる資質は「地域の現状を冷静に分析し」「地域の宝を見つけ、それに光を当て磨きをかける」「住民の気持ちを粘り強くまとめる」力だ、と述べています。また、新潟大学教授の田中秀氏は、地域を支える人財を育てることは容易ではないが、「その人財は決して目立ちたがり屋のヒーローではない。むしろ、地味でどこにでもいるような普通の人たちだ。だが、地域を何とかしたいと思い、地域のために何をすればいいのか常に模索を続ける人たちだ。」と述べています。昨今の国立大学学部再編では、「文理融合」と「地域」がキーワードになり、宇都宮大学の「地域デザイン科学」、佐賀大学の「芸術地域デザイン」学部などが新設され、地域の人材育成を掲げています。

 日経BP社主催の「シティブランド・ランキング―住みよい街2017―」では、守谷市が全国1位(他2市と同位)になったり、東洋経済誌の「住みよさランキング2018」では、守谷市が全国4位(1位印西市、6位中央区、8位港区、など)になったりしているのは、守谷の地域力を示していると思われます。受講生の皆さんには、総合コース「守谷を知る」からさらに進んで専門コースへ進み、地域の人材、いや、人財としてご活躍頂くことを願っています。

4月の学長ブログ

 この3月23日、もりや市民大学の公開講座が開催され、東京大学名誉教授の阿部啓子先生をお迎えし、「健康寿命を伸ばす食生活の創出」と題する講演を頂きました。私たちの日常生活に直結する話題を科学技術の最先端から紹介いただき、大好評を得ました。講演後のアンケート調査自由記載欄は、とても良かった、聞いて良かった、と賞賛の嵐でした。

 私も講演を聞きながら、いろいろ考えさせられました。まず驚いたのは、それまで抱いていた「未病」の勘違いでした。良く、「自分は薬を飲んでいるので大丈夫」と言う方を見かけます。薬を飲んで平常値を維持していれば「未病」の状態かと思っていましたが、阿部先生の定義では、健康な人と半健康な人は「未病」であるが、治療薬を常用している状態はすでに「未病」から外れているとのこと。自分に甘かったかな、と反省しました。また、保健機能食品について、消費者庁から生活習慣病の一次予防に役立つと認められた「特定保健用食品(トクホ)」と、事業者が消費者庁に届出すれば良い「機能性表示食品」との見分け方を教えて頂きました。消費者庁許可マーク(あの万歳マークです)が入っているのが許可された食品だそうです。その他、日本固有の発酵食品が脳機能活性化に良いこと、咀嚼(噛むこと)が脳の血流を増やし、血圧低下作用もあること、など、たくさんの「目からうろこ」を教えて頂きました。

 最も記憶に残ったのは、健康寿命を伸ばすために3つの柱がある、という指摘でした。その3つとは、正しく栄養を取ること、運動を主とする身体運動を欠かさないこと、趣味やボランティアなど社会活動へ参加すること、です。さらに補足事項があります。食事は「孤食」を避け、できるだけ人と一緒に食事することが健康寿命につながるとのこと。もっと印象的だったのは、3つの柱の中で運動だけは続けているが社会活動には参加していない人と、ボランティア活動などの社会活動だけはやっているが運動はやっていない人との健康寿命を比較すると、明らかに後者の方が長い、という調査結果でした。運動さえやっていれば健康、と信じていた人にはショックだったと思います。

 そのほか、たくさんのヒントを頂きましたが、何よりも、この公開講座に参加してワイワイ議論することも健康寿命を伸ばす大事な生活スタイルであるとのお話に会場がワッと湧き上がったのが面白かったです。「孤食」を避ける意味で講座終了後に仲間同士で食事会をすることも大事だったでしょう。そういえば、この講座終了後に市民大学友の会の総会と懇親会がありましたが、講演の趣旨が良く生かされたと思います。友の会の皆さん、健康寿命が伸びましたよ。阿部先生、貴重なお話、誠にありがとうございました。

3月の学長ブログ

 この季節、花粉症対策が必須です。「今年は早めに薬を飲み始めたので大丈夫です」「毎年1回注射してもらい、これで症状は抑えられます」「何だかぐしょぐしょして、目もかゆいです」「昨夜は苦しくて眠れなかったので、すぐに医者に行きました」など、様々な体験談を耳にします。

 私もかなりの重傷患者でして、毎年ジルテックという薬を就寝前に飲んでいます。が、あまり効果が無く、毎晩鼻づまりで苦しんでいます。鼻の奥が塞がるだけでなく、喉の奥まで狭くなってしまい、呼吸困難を感じたことも何度もあります。副鼻腔炎の手術を受けたこともあります。医者から処方された目薬、鼻スプレーは、症状をやや緩和してくれますが、期待したほどの即効効果は得られません。

 最近は、物理的対処法を信頼しています。まず、家中に掃除機をかけます。机や棚などの埃を拭き取ります。寝室の枕回りや布団に埃取りのローラーをかけます。外から帰宅したときは上着の埃を振り払い、場合によっては自分の服や頭髪を濡れタオルで拭き取ったりします。各部屋に空気清浄器は欠かせません。トイレで目がチクチクするのは、恐らく換気装置の働きで室外から空気を吸い込み、トイレ室内で花粉が床や棚に舞い降りているのだと思います。これを拭い取ると効果を感じます。以上、要するに花粉を物理的に排除することが最も効果をあげると信じるようになりました。

 不思議なのは、外出して好きなこと(スポーツや散歩)をしているときにはあまり花粉症の症状に苦しまないのに、家に帰ってくつろぐと症状が強く出ることです。この点につき、妻は「好きなことをしている時は苦しまないの?」と言って、理解に苦しむと申しております。さて、花粉症は、心理的要因が働くのでしょうか?物理的処置が最も効果的なのでしょうか?薬に頼れば大丈夫なのでしょうか?注射がお勧めでしょうか?、食生活の改善が必要でしょうか?多分議論は尽きません。杉の平均寿命は約2000年とか、まだまだスギ花粉アレルギーの話題は続きます。あと2000年お待ち下さい。解決して見せます。

2月の学長ブログ

  植物の発芽や生育は、不思議です。土の中からいつの間にか小さな芽が出てきて、日に日に成長し、やがて枝や葉を伸ばしたうえ、花を咲かせたり実をつけたりして、たとえばスナップエンドウであれば、取っては食べ、取っては食べ、それでも次の日に行くと新しい実がなっています。

 あるいは、室内のゴムの木。大学の研究室で長年付き合ってくれたゴムの木を処分した際、葉っぱ数枚をつけた小枝を1本だけリュックサックに入れて持ち帰り、物置に転がっていた鉢に植えて土をかぶせ、水をやって放置しておきました。すると、どれだけの日数だったか忘れましたが、ある日、どう見ても「生きてるな」という感じの立ち姿に気づきました。それから注意してみると、にょきにょきと成長し、いつの間にか葉っぱが茂り、1m以上の高さに成長しました。これでは大きすぎる、ということで葉っぱを適宜処分し、てっぺんを切り取って背を低くしました。その後、再び枝や葉を伸ばし、今では立派なゴムの木として室内に鎮座しています。根もしっかり再生しました。

 徳富蘆花という作家、ご存じですか?「不如帰(ほととぎす)」を書いた明治の小説家です。この本を映画化したものは、18本を数えるほどに流行りました。徳富蘆花さんは、その後トルストイに会って感化され、「土と共に生きること」を学んだと伝えられています。その徳富蘆花さんが、「みみずのたはこと」というエッセイ集を書いています。岩波文庫でこれも108版を数えるほどのベストセラーでした。そのエッセイの中の1つに「農」が含まれています。そこに土のことが書いてありました。人は土の上に生まれ、土の生むものを食うて生き、而して死んで土になるから、人は「土の化物」に過ぎない、そして、「土の化物」に一番適当した仕事は、土に働くことであらねばならぬ、あらゆる生活の方法の中、尤もよきものを捉えらみ得た物(原文通り)は農である、と断じました。

 ああそうか、大事なのは植物の生命を支えている土なのだな、と理解する次第です。「土は大切だ」ということは、言葉では理解しますが実感を伴う理解はとても難しいものです。アメリカの有機栽培農家の男性が自分の畑の土を「I love it」と言い切ったのを見たことがあります。自分の作った土に惚れた、ということです。なかなかそこまでの実感を持つことはできませんが、土の中から生まれる生命を見ると、良いものだな、という実感はわきます。土の大切さ、土の良さを、どう表現し、どう伝えるか、実は、今でも私は模索しています。それを自分の言葉で表したいと思っています。

1月の学長ブログ

 明けましておめでとうございます。平成最後のお正月がやってきました。次の元号はずばり「平和」でいこう、いや、「金農」だ、などなど、かまびすしい次第です。それはさておき、私たちは、日本の歴史の中でも最も特異な時を生きている、という事実についてふと考えます。

 「日本史の謎は地形で解ける」と題する興味深い文庫本の中で、著者、竹村公太郎氏は、日本は特異点の中にある、と指摘しています。その特異点とは、日本の人口が歴史上のピークを迎え、そしてそれを越えてしまった瞬間を我々は生きている、ということのようです。日本の人口はいつ最高値を記録したか、ご存じですか?それは、平成20年(2008年)の1億2808万4千人です。平成30年(2018年)の人口は1億2652万9千人です。10年で155万5千人減りました。日本の歴史の中で、人口の最高値の時代に生きていることがそもそも奇跡的なことです。恐らく、「日本のピーク人口時代を生きた人間」が未来の社会科学の研究対象になることでしょう。私たちは、その研究にとって貴重なサンプルになるのです。

 で、どうしましょう。ピーク人口を過ぎて人口減少時代をいかに生き、そういう社会をどう形成するか、これは今後長く続く検討事項であり、その検討の第1歩を踏み出したのが現在の我々です。未来に向けて、いろいろな示唆を提示することが、いずれは「昔の人々の知恵」として尊重されるはずです。その際、日本が稀に見る長寿国であることも考慮する必要があります。「人口減少する長寿社会」、これをどう作るかが問われます。

 守谷市人口は67624人(2019年1月)で、去年の同時期より723人増加だそうです。守谷は「人口増加する長寿社会」ですが、いずれ人口ピークを過ぎると予測されています。守谷の「人口減少する長寿社会」も近い将来、市民大学の研究テーマになることでしょう。人口減少時代にはどんな計画が必要でしょうか?この問題は、いずれ起こる地球人口の減少時代の問題の先取りになるかもしれません。壮大で、かつ収拾のつかない思索で今年が始まりました。

12月の学長ブログ

 数日前の新聞投書欄に、18歳高校生の一文がありました。「若者は昔を中高年は今を学ぼう」という見出しでした。私は、これは面白い視点だな、と思いました。若者が過去に学ぶことを推奨したいのは、歴史の重要性や昔の人の知恵などに学ぶことの大切さを思うからでしょうが、私の眼を引いたのは、中高年が現在を学ぶという視点でした。文中には「昔からの固定観念を曲げようとしない中高年」、という厳しい指摘もありました。最後には「中高年の人々は昔を大切にしながらも今ある世界を学び生き」るべし、と諭されてしまいました。

 確かに、中高年にとって「今」が分かりにくくなっていると思います。たとえば、テレビをつけても知らない歌手が知らない歌を歌っている、と感じてしまいます。インターネットを開くと、AI, IoT, ICT, SNS, ・・・などと略号が溢れていて、何が何だか分からなくなってきた、もうついていけない、と考えてしまいます。そう、中高年者は「固定観念を曲げようとしない」のかもしれません。さて、これをどうしましょう?

 実は、2020年までに日本の小中学校教育も大きな変化を予定しています。まず、小学5年生から英語を教科化する、そして、小中学校全生徒にタブレット端末を渡し、タブレット教育を実現するよう推奨することになっています。しかも、守谷市ではタブレット教育を2019年から前倒しで実現する方向で準備していると聞きます。現代の若者だけでなく、孫世代の教育が、ますます中高年者の体験からかけ離れていくのです。

 そこで、もりや市民大学でもオープンコースで守谷のプログラミング教育の実態を学ぼうではないか、という検討を始めました。まさに、中高年が「今」に学ぶ、を実践しようという訳です。この件は、守谷の新しい教育に地域住民を巻き込むという方向にも繋がります。何が起きているか分からないままに世代交代が進むのか、それとも中高年者が固定観念にこだわらないで若者と可能な協働の道を作るのか、といった選択でもあります。もりや市民大学は、当初の設置目的に照らして、市と住民の協働によるまちづくりを目指しますが、小中学校教育の今からも学ぼうという検討が始まったことをご報告する次第です。

11月の学長ブログ

 音楽好きの方向けのブログです。杉原淳さん、といってもご存じの方は少ないでしょう。82才のジャズテナーサックス奏者で、かつて大橋巨泉の「11PM」番組で16年間レギュラー出演していた名手です。原田忠幸さんも82才のジャズバリトンサックス奏者で、あの女優雪村いずみの夫です。フランクシナトラとも共演したというから驚きです。そして、五十嵐明要さんは86才のアルトサックス奏者で、原信夫とシャープアンドフラッツの元メンバーです。この3人のジャズサックス奏者が率いるバンドが毎年2回中野坂上で開くコンサートを、何回か聞きました。ピアノは67才の本田富士旺、ベースは64才のジャンボ小野でした。息の合った素晴らしい演奏であり、完璧かつ心地よい音でした。また聞きたいと思います。

 「むかしむかし、ある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。」で始まる昔話のおじいさんやおばあさんを、何歳ぐらいとイメージしていましたか?私は60代をイメージしていました。歌にも「今年60のおじいさん~♪」とありますし。ところが、3人の80代サックス奏者は、現役の誰にも負けないような迫力・リズムで、極めて完成度の高いジャズ演奏を披露してくれます。今では、「むかしむかし、ある所に80代のおじいさんたちがいて、素晴らしいジャズ演奏をしていました。」で始まる昔話が必要です。

 そういえば、最近A新聞のかたえくぼ欄に「おじいさんとおばあさん、昔、ある所に住んでいました。今、いたる所に住んでいます。」とありました。その通りです。ところで、守谷市にもいたる所におじいさんとおばあさんが住んでいます。そしてその多くの方々が、超絶元気です。この力を活かさない手はありません。協働のまちづくりでも、いたる所に住んでいるおじいさん、おばあさんの力が不可欠です。ここでは、60代を若手、70代を現役、80代を先輩と呼ぶしかなさそうです。すごい世の中になってきました。過去に経験したことのないまちづくりを、これから創造していくことになります。

 のんびりごろ寝してテレビを見ている場合ではありませんぞ、ご同輩!まあ、無理をしない程度にもうちょっと頑張ろうではありませんか。学長ブログというより、80代現役プロミュージシャンに刺激された高齢者ブログになってしまいました。

10月の学長ブログ

 もりや市民大学6月開講コース全てが間もなく修了します。先日10月5日は、専門コース「守谷未来設計―魅力的なまちづくり―」が修了しました。全10コマの内9コマは東大高齢社会総合研究機構の矢冨直美先生が担当して下さいました。このコースには、以下のような特徴がありました。

 まず第1点は、入学者人数18名中17名が男性、1名のみが女性だったことです。過去の総合コース、専門コースを見ても、男女比がこれだけ偏ったことはありません。もう1つの専門コース「緑と人の健康」では、男性60%、女性40%でした。目の前にある具体的な問題への取り組みなら、男女差はなさそうです。では、なぜ「未来」問題だと、女性が参加しないのでしょう?よく分かりませんが、昔SF小説が流行ったことが有りました。私も若いころSF小説が大好きでした。しかし、女性でSF小説を好んで読む方を見た記憶がありません。未来の話はフィクションです。フィクションは想像の産物であり、現実とかけ離れているかもしれません。女性に避けられる理由がそのあたりにあるとすると、今後の専門コース設計でも注意が必要です。

 第2点は、このコースで行われた、守谷の未来に向けた事業実施組織を計画するというワークショップが、予想をはるかに上回る充実を示したことです。コース最終日に、5グループから具体的な守谷未来設計案が発表されました。各グループは、頭の中だけで計画を練るだけでなく、市民アンケートを実施したり、守谷市民大学の受講生として市役所の中の担当部局へヒヤリングに出かけたり、民間商業施設の関係者に面接したりと、精力的な活動を展開し、現実性を帯びた未来設計案を作成しました。この活動については、教室で指導された矢冨先生ご自身からも驚きをもって高い評価をいただき、「コース修了後も各グループの未来設計を実現する活動を継続して下さい。私も引き続き協力し、アドバイスします。」とのコメントをいただきました。

 「守谷未来設計」と称する専門コースは、以上のように、文字通り未来につながる形で修了しました。もしかすると、近い将来、たとえば「野菜作りの教室」コースや「守谷に親水公園を作る」コース、「障害者が暮らしやすいまちづくり」コース、「モコバスをもっと利用しやすくする」コース、「地域支援の子育て」コースなどが生まれるかもしれません。