学長ブログ

5月の学長ブログ

 すでにご承知かもしれませんが、もりや市民大学は、今年1年間の休校を決めました。できるだけ同じ内容のプログラムを、来年の4月以降に開校したいと考えています。この決定につき、講義を引き受けて下さった講師の皆さん、受講を予定されていた市民の皆さんに、お詫び申し上げるとともに、ご理解のほどを宜しくお願いいたします。

 さてさて、「今日の感染者数は?」が一番の関心事になりました。まず、東京都が100人以下、いやいや50人以下だと、ややほっとします。次に、茨城県内の感染者が0で留まっていると、「良かった」と思います。そういえば、守谷市は?と考えてスマホのMorinfoをのぞき込み、当然ながら感染者なしを確認します。その後、大阪はどうか、全国はどうか、ニューヨークはどうなった?世界は?と関心が広がり、ついにアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計にまで到達します。

 この、ジョンズ・ホプキンス大学が気になって調べてみました。アメリカ東海岸のメリーランド州ボルチモアに本部を置く医学系の私立大学だそうです。なんでも、ノーベル賞36人を輩出している、世界屈指の医学部を有するアメリカ最難関大学のひとつとか。実は、私はボルチモアに行ったことがあるので、懐かしく思います。かつて、研究者の卵としてカリフォルニア州に留学していた時代に、飛行機でワシントンへ行き、スミソニアン博物館を見学していた時のことです。幼い我が子2人(男)が、「こんなとこ、つまんない」とむずかるので、止むを得ず地図で(当時スマホはありませんでした)遊園地の所在を探し、ワシントンからボルチモアの遊園地へアムトラック鉄道で移動したのです。子供らは、こじんまりした遊園地でたいそう満足していました。

 あの、思い出のボルチモアにこんな立派な大学があったとは、知りませんでした。あれから37年にして初めて知ったのです。それにしても、世界中のコロナウイルス感染に関わる統計データを一手に引き受け、それを瞬時に世界へ発信し続ける仕組みは、どのようなものなのでしょう?一大学が国を超えて世界の状況を把握し、政府や国際機関よりも高い信頼を得てその情報を発信するという姿に、感動と驚きを禁じえません。何人くらいのどんな人が実務を担当しているのでしょうね?スゴイです。

4月の学長ブログ

 新聞を開く、ラジオをつける、テレビをつける、スマ―トフォンを開ける、どれをやっても、目に飛び込んでくるのは新型コロナウイルスのことばかりです。COVID-19と呼ぶ人もいますが、これはウイルスのことではなく、感染して起こす肺炎の名称だそうです。

 そんな中で、読書はささやかな癒しを与えてくれます。外出を控えよ、と言われてから私が読んだ本をご紹介しましょう。図書館に依頼して半年間待ち、ようやく順番が回ってきた本、イタリア人理論物理学者カルロ・ロヴェッツリの著書「時間は存在しない」を読んでみました。タイトルに引かれて読みましたが、原題はThe Order of Time(時間の秩序)でした。翻訳者と出版社がインパクトを強めるために意訳したようで、私も見事につかまりました。「時間」をめぐり、アインシュタイン、ループ量子重力理論、エントロピーの増大、スピンネットワーク、など、強烈なキーワードを用い、分かりやすいたとえを多く使って読ませます。分かったような気にさせる本でした。もう一冊は、1000ページという分厚い「虚数の情緒」(吉田武著)です。中学生から読める独学のための本だそうです。自然数や九九の計算から始まり、無理数、実数、虚数、指数、振子、重力へと進み、最後には場の量子論、量子脳力学まで連れていくというとんでもない本で、一人の著者がここまで広くカバーできるものか、と驚嘆します。その中で、野球のバッティング理論も展開し、これが案外参考になったりするのです。なぜか、愛読書の1つになりました。

 難しい本ばかり読んでいるとお思いでしょうが、ご安心ください。一方で、アンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」(上・下)を読みました。ミステリの最高峰などと宣伝されていたので、どれどれ、と手にしてみました。「それかよ?そう持っていくの?」とびっくりしました。面白いけどちょっと釈然としません。気になって、同じ作者の「007逆襲のトリガー」も読みました。おなじみジェームスボンドが活躍するサスペンス。まあ、いいかな、と許容しました。同じ著者によるもう一冊「メインテーマは殺人」は手元にあって、これから読みます。

 こんな具合です。私の友人(北大の名誉教授)は、こんな時だから、と土壌学の専門書を読み直しているそうです。自分の専門分野の周辺を勉強しなおす、という考えも納得です。そこにも新発見があるのだそうです。家に閉じこもる日々、何か楽しみがないといけませんね。そうそう、「ジャズ・スタンダード・バイブル(ジャズ・ピアノ・エチュード)」も、私の新たな一冊に加わりました。

3月の学長ブログ

 残念ながら、新型コロナウィルスが収まらず、今日(3月13日金曜日)のニュースではニューヨーク株式市場ダウ平均株価が2352ドル下落し、日経平均株価が17000円を下回るなど、その影響が拡大しています。無観客大相撲、春の選抜高校野球大会中止、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンの休業、ブロードウエーのミュージカルやオペラの休演など、信じられないニュースが飛び交っています。そして、ついに東京オリンピック開催の可否についても現実的な判断を迫られるに至りました。

 そんな中、もりや市民大学でも、2月29日「総合コース:花のまちづくりの活動について」を録画ユーチューブ方式への切替え、3月7日の総合コース修了式中止、3月14日「オープンコース:はじめてのグリーンづくり講座」中止、3月18日運営委員会の中止、3月28日の公開講座中止、などを決めました。時間と労力を注いで実現までこぎつけた様々な計画が、このウィルスの影響で中止や延期に追い込まれています。それでも、私たちは6月開講コースの実現をめざします。

 新聞やテレビなどでは、新型コロナウィルス関連ニュースでほとんどが覆われる中、ところどころで5月以降のイベント案内や海外旅行案内などが出ています。そうしたコマーシャルを見るにつけ、この問題が何とか収まってくれるよう、そして一日も早く普通の日常が戻ってきますように、という、我々と同じ願いを感じずにはいられません。もりや市民大学も、今年の新しいプログラムを用意し、いま、まさに市民の皆様に広くお伝えしようと準備中なのです。

 世界中での「今後どうなる?」との思いが、対コロナウィルスへの有力な反撃力となるよう祈るばかりです。One Earth、地球は一つ、といった標語が、こんな形で現れるとは思ってもみませんでした。SF小説をはるかに凌ぐ、ウィルス対人類の壮絶な闘い、この結末を正しく見通すシナリオはありません。「明日は我が身」がますます現実味を帯びてきました。手洗いとうがいを励行し、じっと耐える、それしか見えません。

2月の学長ブログ

 1月の学長ブログで「上海の発展ぶりを見てきました」と得意げに述べたところ、その直後から新型コロナウィルス問題が発生し、瞬く間に中国からアジア、さらには全世界にまで影響が広まってしまいました。私も、「あなた、上海に行ってきた人?ウイルス運んでない?」と言われることを覚悟しなければなりません。まあ、1か月半経過しても何も起こらないので、危うく難を逃れたのかもしれません。

 難を逃れた人は幸運です。しかし、予想だにしなかった難に見舞われ、そこから逃れることができなかった方が大勢おられます。他人事とは思えません。「あんな豪華客船に、一度は乗ってみたい」は、どんな家庭でも話題に上るはずです。我が家も例外ではありませんでした。現在、船内に閉じ込められている皆さんも、全く同じ思いで乗船された方々が多いことでしょう。忍耐強く、問題解消を待たれている方々のお気持ちは、察するに余りあります。

 2つのことを考えさせられます。1つは、これまでのところ、感染者を「犯人扱い」するような報道や情報は発信されていないことです。理性がパニックを抑え、冷静さが勝っているものと考えています。2つ目は、「東洋人お断り」のような差別的対応が、主としてヨーロッパ方面から聞こえてくることです。これに対しては、怒りより悲しさが先に沸き上がります。風評被害の悲しさは、東日本大震災など身近で何度も経験しているはずです。恐らく、逆の現象、つまり冷静で差別しない善意も数多く働いているが、それはニュースにならないのだろうと思います。

 現在の新型コロナウィルス問題については、どなたも心配して成り行きを注視しておられます。今よりもっと深刻な事態に推移する可能性も無いとは言えません。ただただ、これ以上悲劇的な問題が加わらないこと、今回の大事件から人類共通の教訓を深く学び取ること、そうしたことを祈るばかりです。

1月の学長ブログ

 あけましておめでとうございます。お正月は5日まで休みがたっぷりで、お出かけの方も多かったことでしょう。かく言う私も、実は上海にお邪魔してきました。息子世代が3家族集合計画を立ててくれたものです。最も、そのうち1家族は、年末のインフルエンザに巻き込まれ、参加取りやめとなりましたが・・・。

 その上海について、3つばかり気づいたことをご報告します。最近、香港や台湾の政治情勢を伝えるニュースが多いですが、上海のことはあまり話題に上っていません。そこで、私が行って直接感じたことを話題に乗せてみます。その①、正月だというのに、特に混雑やお祭り気分が見当たらない、まるで平日のまま、という雰囲気でした。日本語がうまいガイドの中国人に聞いてみると、1月1日、2日、3日とも、特に行事はない、みんな春節待ち、つまり1月25日を中心として24日から30日までの春節休みを心待ちにしているとのこと。お国柄の違いを感じました。

 その②、街が静かで清潔なのです。特に道路がうるさくない。ふと気づくと、バイクの音がしないのです。たくさんのバイクが走っているのに音がしない。おやっと思って聞くと、上海のバイクはすべて電動バイクに変わったそうです。だから、バイクの音は自転車並みなのです。こりゃ静かになる訳だ、と納得しました。その③、子連れ家族が見当たらないのです。こざっぱりした若者がとても多いのですが、子供ががやがやしている様子がないのです。いるとすれば我々のような日本人観光客です。どうやら、中国の一人っ子政策の影響で、兄弟のいない若者世代が社会の前面に出てきて活躍中らしいのです。「大勢の子供ががやがやしている貧しい生活者」といった昔の中国の面影がありません。

 だからどう、といった話ではありませんが、ニュースにならない肌感覚の中国を見てきて、世の中は刻々と変化することを身に染みて感じました。古い記憶や経験だけで物事を判断してはいけない、今現在の姿を直接見聞きすることは大切、と思いました。もりや市民大学で学びなおすのも、同じ目的かもしれません。今の守谷、今の日本、今の世界を学びましょう。今年もどうぞよろしくお願いします。