学長ブログ
12月の学長ブログ
菅原文太をご存じですか?そう、やくざ映画「仁義なき戦い」などで有名となり、トラック野郎シリーズの主役でも有名な往年の東映映画スターです。その菅原文太がナレーションをしているDVDに「アフガンに命の水を」(ペシャワール会、2009年)があります。あの、アフガニスタンンで射殺された中村哲医師の活動を追ったドキュメンタリー映画です。菅原文太は、俳優引退後、山梨県に居住して農業を営みながら、こういった声優のような仕事を続けていました。そして、作成直後のDVDを山梨県庁にも届けていたのです。
当時、山梨県公共事業評価委員長を担当していた私は、早速そのDVDを譲っていただき、大学での講義や研究室でのセミナーなどで活用しました。このDVDで中村哲医師の不屈の努力と貢献を知った誰もが、その活動に敬服し、感動しました。ですから、今回のテロ攻撃には、怒り、悲しみ、失望、などが入り混じる思いです。非常に残念です。
戦争に武器はいらない。食べるものがまず必要です。誰もが食べて生活できるようになれば、戦争にはならない、と断言し、アフガニスタンの乾いた大地に全長25.5kmの水路を建設し、3000ヘクタールに及ぶ大規模な農地を作り、15万人以上の灌漑農業従事者を生んだ中村哲医師の行動力には、頭が下がるばかりです。しかも、現地の人たちと接する姿は、あくまでも自然体。DVDを通して、中村哲医師がいかに人々に信頼されていたかが分かります。
菅原文太が生きていたら、きっと悔しがることでしょう。「俺が行って、たたっ切ってやる」とやくざセリフを言うでしょうか?いやいや、晩年の菅原文太は、農業を愛し、ニコニコした好々爺でした。中村哲さんをあの世で迎え入れ、「ようやってくれた。お疲れさん。なーに、後を継ぐ若者がちゃんとやってくれますよ」と慰めている頃だと思います。この俳優さん、何となく憎めないお人柄でした。
11月の学長ブログ
晴天に恵まれた11月9日、今年の11月開講コースの開講式が開かれました。松丸市長にもご臨席いただき、祝辞を頂戴しました。今期の総合コース、専門コースの合計入学者は55名、これ以外に2つのオープンコースが予定されていて、ここでは合計36名の申し込みがありました。
先月、私は船橋市の船橋マスター学院に招かれ、「土と水の環境科学―船橋市―」と題する講演を行い、その後、この会を運営している方々と交流してきました。船橋市の人口は約63.5万人で、守谷市のちょうど10倍です。平成16年に開校した「ふなばし市民大学校」は、その規模も守谷市の10倍あります。そして、私を招いた船橋マスター学院というのは、もりや市民大学友の会のような組織でした。皆さん熱心に聞いて下さり、活発な質疑応答がありました。そのあとの交流会も楽しかったです。
そういえば、数年前には、川崎市民アカデミー(市民大学です)に招かれて講演したこともあります。川崎市は人口152万人の大都市です。ここでは「現代の水利用と農業」と題して、いわゆる水問題、地下水の問題、地球規模で起きている土と水の危機、などについてお話してきました。ついでに、市民大学の運営についてお話を伺いましたが、川崎市の規模が大きいので市民アカデミーも巨大な組織になり、その運営は大変な作業だと思いました。
翻って、我がもりや市民大学、こじんまりしていると思います。そのこじんまりさが、特徴を出しています。大規模な市民大学では、組織運営が大変です。プログラム作りも大変、広報活動も大変、会計処理も大変、学務管理も大変です。運営委員は入学者へのサービスにこれ努めます。一方、もりや市民大学では、運営委員自身が必要と考え、期待するようなコース設計を心掛け、かつ、自分でも受講生になることができる、珍しい形式を生み出しています。それゆえ、教室で受講生と運営委員の協働が生まれることもあります。まさに、協働のまちづくりが、もりや市民大学の教室内で実施されているとも言えます。小さな市だからこそできる市民大学運営と協働のまちづくり、今後も発展させたいと思います。
10月の学長ブログ
大きな災害が発生しました。台風19号です。千曲川、那珂川、久慈川といった有名な大河川の堤防があちらこちらで決壊し、大量の水が氾濫しました。守谷市でも、10月12日から13日にかけて、スマホや携帯が何度も鳴り、緊急警報が発せられました。そして、一夜明けたところのニュースでは、次々に河川の氾濫、堤防の決壊、犠牲者の続出が伝えられました。今現在も新たな被災ニュースが加わっているといった状況です。自然災害の恐ろしさを再認識しているところです。
もりや市民大学でも、台風19号の接近に伴い、12日に予定されていた総合コース最終日の講義と修了式を中止しました。講義を担当していたのは、私です。災害のお話をしようかと準備していたら、本物の災害が到来してしまいました。そして、私は、翌日の13日にTXに乗ったので、車窓から利根川の増水を見ました。恐ろしいほどに水位が上昇していました。私の事前調査では、守谷市内を流れる利根川の堤防高さ(標高)は約14mです。したがって、もし利根川の増水が続いて越流が起きたとすると、標高14m以下の土地では床下や床上の浸水が起きたはずです。仮にどこか近くで堤防が決壊したとすれば、標高14m以下の広い範囲で浸水が起きたことでしょう。危ないところだったと思います。
しかし、ニュースでも標高のことはあまり報道されません。どちらかというと、浸水の深さが4mだとか4.3mだ、などと報道され、家屋の場合も1m浸水、2m浸水などの表現が使われています。これは、目の前の現実を伝えるには適した報道ですが、そもそも堤防が決壊したり水位上昇で堤防を越流したりした場合、我が家に水が来るのか否か、という事前判断には適しません。住んでいる土地の標高さえわかれば、大河川の近くで安全な場所がどこにあるか、予測できます。
そんなことを、もりや市民大学の総合コース最終日にお話ししようと思っていたら、未曽有の大災害が起こってしまいました。今現在は、被災地の救済や復旧が第一に重要でしょう。鬼怒川、小貝川、利根川とともに生きていかねばならない守谷市の自然環境について、もりや市民大学の教室で、皆さんと議論したいと思っています。
9月の学長ブログ
忙しいので、落ち着いてブログを書く余裕がありません。なぜそんなに忙しいのか?と聞かれると、とても困るのです。そして、よく聞いてみると、私のまわりにも、忙しくて時間に追われている中高年者はたくさんおられます。特に、定年後の高齢者が一段と忙しくなっているように見受けられます。その理由を考えてみると、
① 定年延長で、60歳を過ぎても働いている人が増えた。
② 手取りの年金額が少ないので、定年後再雇用、再就職の人が増えた。
③ 定年後の社会活動、地域サークル、地域スポーツクラブ、などに所属してスケジュールが埋まっていく人が増えた。
④ 若い共稼ぎ夫婦が増え、孫の世話に駆り出される高齢者が増えた。
⑤ その他(病院通い、現役時代の延長線上で頑張っている、など)
こういったことが、忙しい高齢者を増やしていると思います。
私の場合も、この中のいくつかに該当し、予定表が早くから埋まっていきます。みんなが忙しい世の中、これは、どう考えればよいでしょうか?活気があり、希望に満ちた社会である、と見るのか、みんなが別の方向に向かってバタバタする落ち着きのない社会になっている、と見るのか。
私は、何だか落ち着かなくていやだなー、と思っています。天気でいえば、9月も中旬だというのに、夏型の台風が来るし、残暑は気温35℃近くまで上がって蒸し暑く、秋の気配が来ていません。社会に目を向ければ、内閣は改造するし、アイフォンは新機種を発表するし、消費税増税は目の前です。日韓関係、日米関係、日中関係なども、落ち着きません。来年はオリンピック・パラリンピックの日本開催ということで、特にマスコミがソワソワしています。
ここは、ひとつ気持ちを落ち着けて、何か良いことを始めてみませんか?たとえば、もりや市民大学に入ってみて、新たなヒントをつかむ、新しい仲間を見つける、といった展開です。個々人がバラバラで、かつそれぞれが忙しい、という社会は、あまり豊かとは思えません。共通点を見つけて共に歩むことを楽しむ、といったことができれば社会も健全な方向に向かえるような気がします。協働のまちづくり、という目標にも合致します。「落ち着かない」を逆手に取ったブログでした。
8月の学長ブログ
今後の予定をブログに書きます。まだ、公表されていない情報をいち早くリークすることで、注目を集めようという魂胆です。この種の情報、つまり、みんなはまだ知らないのに自分だけは先に情報を入手するときの妙な優越感というか、不思議なお得感といったものが、確かに世の中には存在しています。「ここだけの話ですが」という前置きで話をするとき、誰もが聞き耳を立てるのです。
8月31日(土)は公開講座「世界の山・日本の山」と題して、登山家の青木達哉さんが山の魅力を話してくれます。まだ受け付中です。ご期待ください。11月開講コースに向けても準備が進んでいます。たとえば、オープンコースで自動車運転シミュレーター体験という教室も予定しています。自動車運転時の危険予知能力の客観評価を受けることになります。希望者が多いと人数制限がかかるかもしれません。「助けて」と言えるまちづくりの専門コースも準備中です。周囲や地域に「助けて」と言えず、悲惨な事件にまで発展してしまったケースが報道されています。具体的で有効な助け合いとは何か、これからの時代に欠かせない生きた知識を準備しています。
ここだけの話ですが、来年4月以降のもりや市民大学は、がらりと構成を変える可能性があります。今までの6月開講コース、11月開講コース、といった組み立てそのものを変えるかもしれません。おやっ?何か違うぞ、どうなったかな?と思わせるような変身を考案中です。お・た・の・し・み・に。
「熱中症に気をつけましょう」が合言葉の今年の夏、皆様体調に気をつけて、元気に乗り越えましょう。孫の相手でお疲れでしょう。お盆休みの家族旅行サービスでお疲れでしょう。家族が集まった家での食事や洗濯、大変でしょう。でも、過ぎてしまえば良い思い出になります。と、自分に言い聞かせている今日この頃です。