学長ブログ

3月の学長ブログ

 今月3月8日は、渋谷駅で鎮座しているハチ没後80年の命日でした。ハチは「忠犬ハチ公」と呼んで親しまれ、海外でもリチャードギア主演の映画「HACHI、約束の犬」などで良く知られています。
 そのハチの飼い主は上野英三郎という農学博士です。実は、私の6代ほど前の東大教授でした。正確に言うと、上野博士は明治末期に農業工学担任の初代教授となり近代日本の耕地整理を指導した人です。その後、この分野が発展して農業土木学となり、私もその中の1分野である「環境地水学」という研究室の教授を勤めた次第です。
 さて、このハチと上野英三郎博士は、別々の思い出の中に記憶されてきましたが、この3月8日の命日に80数年ぶりの再開を果たしました。ハチが上野博士に飛びつき、全身で喜びを表している姿が、見事なブロンズ像となって東京大学農学部キャンパスに再現したのです。私もこのブロンズ像建立をお世話する会に関与してきましたので、感無量です。除幕式には多数の市民が押し寄せ、多くの報道機関もカメラを構えていましたので、テレビニュースを見た方もおられるでしょう。私は、改めて、ハチが日本人に広く愛されていることを知りました。
 愛犬家の皆さん、そして、近代日本の農業の礎を築いた人物を見てみたい方、どうぞ、東京大学弥生キャンパスに足を運んでみてはいかがでしょうか?地下鉄南北線に乗って東大前駅で降り立つと、徒歩1分でハチと上野博士に会うことができます。そして、犬と飼い主との心の交流を感じ取れるような素晴らしいブロンズ像を見ることができます。