5月の学長ブログ

 「全体の中で部分を知る」という行為は、なかなか難しいと思います。たとえば、もりや市民大学で「守谷を知る」とはどういうことを意味するでしょう?守谷の地理、守谷の歴史、守谷の人などを幅広く知ることは、勿論大切です。しかし、その守谷が茨城県内でどんな特徴を持ち、また、関東全域あるいは日本全体から見てどんな地域なのか、さらに大きく、世界の中の守谷にまで視野を広げ、地元の特徴を知ることも、やはり「守谷を知る」ことになります。

 本学の総合コースでは、そうしたいろいろな観点から「守谷を知る」ことができるようなプログラムを組んでいます。今期6月開講コースでは、東京芸大の向井さんから「アート/日常風景から守谷らしさについて考える」のワークショップを計画して頂き、また、ハッフ・ルイーザさんからは「国際社会/ドイツから来た国際交流員が見た守谷」の講義があります。お陰様で、このコースは毎回好評であり、受講希望者は常に定員を上回っていますが、教室に収容できる限りは全ての希望者の入学を受け入れることにしています。全体を見ながら地域を知り、地域で何ができるかを考える、そのきっかけ作りがここにあります。

 そういえば、「地域」がキーワードになる議論も事欠きません。人間文化研究機構総合地球環境学研究所教授の佐藤哲氏は、その著書の中で、地域のリーダーに求められる資質は「地域の現状を冷静に分析し」「地域の宝を見つけ、それに光を当て磨きをかける」「住民の気持ちを粘り強くまとめる」力だ、と述べています。また、新潟大学教授の田中秀氏は、地域を支える人財を育てることは容易ではないが、「その人財は決して目立ちたがり屋のヒーローではない。むしろ、地味でどこにでもいるような普通の人たちだ。だが、地域を何とかしたいと思い、地域のために何をすればいいのか常に模索を続ける人たちだ。」と述べています。昨今の国立大学学部再編では、「文理融合」と「地域」がキーワードになり、宇都宮大学の「地域デザイン科学」、佐賀大学の「芸術地域デザイン」学部などが新設され、地域の人材育成を掲げています。

 日経BP社主催の「シティブランド・ランキング―住みよい街2017―」では、守谷市が全国1位(他2市と同位)になったり、東洋経済誌の「住みよさランキング2018」では、守谷市が全国4位(1位印西市、6位中央区、8位港区、など)になったりしているのは、守谷の地域力を示していると思われます。受講生の皆さんには、総合コース「守谷を知る」からさらに進んで専門コースへ進み、地域の人材、いや、人財としてご活躍頂くことを願っています。