10月の学長ブログ

 秋です。突然、秋が訪れたように感じます。前日はクーラーを効かしていたのに、今日は暖房が恋しい。季節の変わり目とはこんなもんだったかな?と今更ながら驚いています。

 この秋、「科学者は災害軽減と持続的社会の形成に役立っているか?」という学術フォーラムが開催されます。「役立っている」、「役立っていない」という答えを見つけよう、という訳ではありません。学術的に優れた研究が即社会の役に立ち、社会に評価されるとは限らないことは、今回のノーベル医学生理学賞「オートファジーの仕組みの解明」を受賞した大隅良典東工大栄誉教授の例でも明らかです。この研究は、細胞の中のたんぱく質やそれを覆う袋のような物質の分解やリサイクル利用につながる話ですが、即社会の役に立つ、とは考えられません。その大隈氏は、競争的資金に走る研究費予算には批判的で、基礎科学の重要性を強調されているそうです。

 では、この問いは、何を意味しているのでしょうか?学術フォーラムでは、「研究者から見た社会への説得力」「水とグローバルリスク」「土壌と持続的食料生産」「気象災害」「地質と地盤情報」「火山災害」「地震災害」「災害と地球環境」「フューチャーアース」などのテーマで、いろいろな専門分野の研究者が科学と社会の関係について持論を展開し、意見交換を行います。何を持って「役に立つ」と言えるのか、その問いは、研究者が常に頭に置き、自らの研究を通してその答えを求めるのです。

 さて、もの思う秋に相応しいこの学術フォーラム、よろしかったらどうぞご参加ください。11月13日(日)13時から、地下鉄千代田線乃木坂駅から1分の日本学術会議講堂で開催されます。参加費無料です。問題は、この中の1件を私が担当することです。私は農学分野の土壌物理学・環境地水学を専門としています。さて、私の担当課題はどれでしょうか?・・・・今月のブログ、しょうもない設問で終わります。