3月の学長ブログ

 ウクライナ情勢が連日報道されています。私は土壌科学者という立場から、マスコミ報道とは違った側面で事の成り行きを見守っています。それは、ウクライナの土壌のことです。実は、ロシアという広大な国の中で、農業生産力の高い肥沃な土は、主に国の南西部に存在し、その土はチェルノーゼムという名称で世界に知られています。皆さんも、世界の穀倉地帯、という知識を中学の社会科などで学んだことはありませんか?世界の穀倉地帯は、チェルノーゼムというカルシウムと有機質に富む肥沃な土を持つ地域において存在します。そして、ウクライナにはこの土が豊富に分布しているのです。争いのもとになっているクリミア半島でも、この土が豊富です。特に農村に広がる麦畑のほとんどはチェルノーゼムのようです。私は、ロシアもチェルノーゼムという肥沃な土壌地帯を確保したいのではないか、という穿った見方をしています。黒々とした有機物に富む肥沃な土は、まさに世界の穀倉地帯と呼ぶにふさわしい生産力と田園風景を誇ります。チェルノーゼムは誰のものか、ロシアか、ウクライナか、という図式で今の問題を考えているのは、私(もしかしたらプーチンさんも)だけでしょうね。