学長ブログ

3月の学長ブログ

 残念ながら、新型コロナウィルスが収まらず、今日(3月13日金曜日)のニュースではニューヨーク株式市場ダウ平均株価が2352ドル下落し、日経平均株価が17000円を下回るなど、その影響が拡大しています。無観客大相撲、春の選抜高校野球大会中止、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンの休業、ブロードウエーのミュージカルやオペラの休演など、信じられないニュースが飛び交っています。そして、ついに東京オリンピック開催の可否についても現実的な判断を迫られるに至りました。

 そんな中、もりや市民大学でも、2月29日「総合コース:花のまちづくりの活動について」を録画ユーチューブ方式への切替え、3月7日の総合コース修了式中止、3月14日「オープンコース:はじめてのグリーンづくり講座」中止、3月18日運営委員会の中止、3月28日の公開講座中止、などを決めました。時間と労力を注いで実現までこぎつけた様々な計画が、このウィルスの影響で中止や延期に追い込まれています。それでも、私たちは6月開講コースの実現をめざします。

 新聞やテレビなどでは、新型コロナウィルス関連ニュースでほとんどが覆われる中、ところどころで5月以降のイベント案内や海外旅行案内などが出ています。そうしたコマーシャルを見るにつけ、この問題が何とか収まってくれるよう、そして一日も早く普通の日常が戻ってきますように、という、我々と同じ願いを感じずにはいられません。もりや市民大学も、今年の新しいプログラムを用意し、いま、まさに市民の皆様に広くお伝えしようと準備中なのです。

 世界中での「今後どうなる?」との思いが、対コロナウィルスへの有力な反撃力となるよう祈るばかりです。One Earth、地球は一つ、といった標語が、こんな形で現れるとは思ってもみませんでした。SF小説をはるかに凌ぐ、ウィルス対人類の壮絶な闘い、この結末を正しく見通すシナリオはありません。「明日は我が身」がますます現実味を帯びてきました。手洗いとうがいを励行し、じっと耐える、それしか見えません。

2月の学長ブログ

 1月の学長ブログで「上海の発展ぶりを見てきました」と得意げに述べたところ、その直後から新型コロナウィルス問題が発生し、瞬く間に中国からアジア、さらには全世界にまで影響が広まってしまいました。私も、「あなた、上海に行ってきた人?ウイルス運んでない?」と言われることを覚悟しなければなりません。まあ、1か月半経過しても何も起こらないので、危うく難を逃れたのかもしれません。

 難を逃れた人は幸運です。しかし、予想だにしなかった難に見舞われ、そこから逃れることができなかった方が大勢おられます。他人事とは思えません。「あんな豪華客船に、一度は乗ってみたい」は、どんな家庭でも話題に上るはずです。我が家も例外ではありませんでした。現在、船内に閉じ込められている皆さんも、全く同じ思いで乗船された方々が多いことでしょう。忍耐強く、問題解消を待たれている方々のお気持ちは、察するに余りあります。

 2つのことを考えさせられます。1つは、これまでのところ、感染者を「犯人扱い」するような報道や情報は発信されていないことです。理性がパニックを抑え、冷静さが勝っているものと考えています。2つ目は、「東洋人お断り」のような差別的対応が、主としてヨーロッパ方面から聞こえてくることです。これに対しては、怒りより悲しさが先に沸き上がります。風評被害の悲しさは、東日本大震災など身近で何度も経験しているはずです。恐らく、逆の現象、つまり冷静で差別しない善意も数多く働いているが、それはニュースにならないのだろうと思います。

 現在の新型コロナウィルス問題については、どなたも心配して成り行きを注視しておられます。今よりもっと深刻な事態に推移する可能性も無いとは言えません。ただただ、これ以上悲劇的な問題が加わらないこと、今回の大事件から人類共通の教訓を深く学び取ること、そうしたことを祈るばかりです。

1月の学長ブログ

 あけましておめでとうございます。お正月は5日まで休みがたっぷりで、お出かけの方も多かったことでしょう。かく言う私も、実は上海にお邪魔してきました。息子世代が3家族集合計画を立ててくれたものです。最も、そのうち1家族は、年末のインフルエンザに巻き込まれ、参加取りやめとなりましたが・・・。

 その上海について、3つばかり気づいたことをご報告します。最近、香港や台湾の政治情勢を伝えるニュースが多いですが、上海のことはあまり話題に上っていません。そこで、私が行って直接感じたことを話題に乗せてみます。その①、正月だというのに、特に混雑やお祭り気分が見当たらない、まるで平日のまま、という雰囲気でした。日本語がうまいガイドの中国人に聞いてみると、1月1日、2日、3日とも、特に行事はない、みんな春節待ち、つまり1月25日を中心として24日から30日までの春節休みを心待ちにしているとのこと。お国柄の違いを感じました。

 その②、街が静かで清潔なのです。特に道路がうるさくない。ふと気づくと、バイクの音がしないのです。たくさんのバイクが走っているのに音がしない。おやっと思って聞くと、上海のバイクはすべて電動バイクに変わったそうです。だから、バイクの音は自転車並みなのです。こりゃ静かになる訳だ、と納得しました。その③、子連れ家族が見当たらないのです。こざっぱりした若者がとても多いのですが、子供ががやがやしている様子がないのです。いるとすれば我々のような日本人観光客です。どうやら、中国の一人っ子政策の影響で、兄弟のいない若者世代が社会の前面に出てきて活躍中らしいのです。「大勢の子供ががやがやしている貧しい生活者」といった昔の中国の面影がありません。

 だからどう、といった話ではありませんが、ニュースにならない肌感覚の中国を見てきて、世の中は刻々と変化することを身に染みて感じました。古い記憶や経験だけで物事を判断してはいけない、今現在の姿を直接見聞きすることは大切、と思いました。もりや市民大学で学びなおすのも、同じ目的かもしれません。今の守谷、今の日本、今の世界を学びましょう。今年もどうぞよろしくお願いします。

12月の学長ブログ

 菅原文太をご存じですか?そう、やくざ映画「仁義なき戦い」などで有名となり、トラック野郎シリーズの主役でも有名な往年の東映映画スターです。その菅原文太がナレーションをしているDVDに「アフガンに命の水を」(ペシャワール会、2009年)があります。あの、アフガニスタンンで射殺された中村哲医師の活動を追ったドキュメンタリー映画です。菅原文太は、俳優引退後、山梨県に居住して農業を営みながら、こういった声優のような仕事を続けていました。そして、作成直後のDVDを山梨県庁にも届けていたのです。

 当時、山梨県公共事業評価委員長を担当していた私は、早速そのDVDを譲っていただき、大学での講義や研究室でのセミナーなどで活用しました。このDVDで中村哲医師の不屈の努力と貢献を知った誰もが、その活動に敬服し、感動しました。ですから、今回のテロ攻撃には、怒り、悲しみ、失望、などが入り混じる思いです。非常に残念です。

 戦争に武器はいらない。食べるものがまず必要です。誰もが食べて生活できるようになれば、戦争にはならない、と断言し、アフガニスタンの乾いた大地に全長25.5kmの水路を建設し、3000ヘクタールに及ぶ大規模な農地を作り、15万人以上の灌漑農業従事者を生んだ中村哲医師の行動力には、頭が下がるばかりです。しかも、現地の人たちと接する姿は、あくまでも自然体。DVDを通して、中村哲医師がいかに人々に信頼されていたかが分かります。

 菅原文太が生きていたら、きっと悔しがることでしょう。「俺が行って、たたっ切ってやる」とやくざセリフを言うでしょうか?いやいや、晩年の菅原文太は、農業を愛し、ニコニコした好々爺でした。中村哲さんをあの世で迎え入れ、「ようやってくれた。お疲れさん。なーに、後を継ぐ若者がちゃんとやってくれますよ」と慰めている頃だと思います。この俳優さん、何となく憎めないお人柄でした。

11月の学長ブログ

 晴天に恵まれた11月9日、今年の11月開講コースの開講式が開かれました。松丸市長にもご臨席いただき、祝辞を頂戴しました。今期の総合コース、専門コースの合計入学者は55名、これ以外に2つのオープンコースが予定されていて、ここでは合計36名の申し込みがありました。

 先月、私は船橋市の船橋マスター学院に招かれ、「土と水の環境科学―船橋市―」と題する講演を行い、その後、この会を運営している方々と交流してきました。船橋市の人口は約63.5万人で、守谷市のちょうど10倍です。平成16年に開校した「ふなばし市民大学校」は、その規模も守谷市の10倍あります。そして、私を招いた船橋マスター学院というのは、もりや市民大学友の会のような組織でした。皆さん熱心に聞いて下さり、活発な質疑応答がありました。そのあとの交流会も楽しかったです。

 そういえば、数年前には、川崎市民アカデミー(市民大学です)に招かれて講演したこともあります。川崎市は人口152万人の大都市です。ここでは「現代の水利用と農業」と題して、いわゆる水問題、地下水の問題、地球規模で起きている土と水の危機、などについてお話してきました。ついでに、市民大学の運営についてお話を伺いましたが、川崎市の規模が大きいので市民アカデミーも巨大な組織になり、その運営は大変な作業だと思いました。

 翻って、我がもりや市民大学、こじんまりしていると思います。そのこじんまりさが、特徴を出しています。大規模な市民大学では、組織運営が大変です。プログラム作りも大変、広報活動も大変、会計処理も大変、学務管理も大変です。運営委員は入学者へのサービスにこれ努めます。一方、もりや市民大学では、運営委員自身が必要と考え、期待するようなコース設計を心掛け、かつ、自分でも受講生になることができる、珍しい形式を生み出しています。それゆえ、教室で受講生と運営委員の協働が生まれることもあります。まさに、協働のまちづくりが、もりや市民大学の教室内で実施されているとも言えます。小さな市だからこそできる市民大学運営と協働のまちづくり、今後も発展させたいと思います。